2003年12月22日
ヴイテック、EDCの自給体制を確立
水島の電解能力の増強工事を完了
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:ヴイテック

 ヴイテックは11月下旬から水島工場内で電解設備の能力増強工事を進めていたが、このほど完工した。同工事は、ソーダ換算で年産13万t能力であったこれまでの電解設備を同18万t規模に引き上げるためのもの。これによって同社は、かねて念願の塩ビ原料EDCの完全自給体制を整えることができた。同社では、来年春からのフル稼動を予定している。軌道に乗れば、同社の企業体質の強化に大きな弾みがつくことになりそう。
 
 ヴイテックは平成14年12月に抜本的な企業体質強化策を公表し、今年1月以降順次実行に移してきた。具体的には、川崎と四日市の工場内の低効率PVC設備(合計年産7万1,000t能力)の操業打ち切り、コスト引き下げのための水島工場を含めた合計3工場の全てのPVC設備の生産性の向上(同1万5,000t規模)、セントラル化学からのVCMの引取り(年10万t)停止、それに替わる水島工場内のVCM設備の増強(年産30万tを35万tに)--等が例として挙げられる。
 今回の電解能力の増強は、そうした一連のコスト競争力強化策の中でも最も大きな効果を上げると期待されているもの。これによって同社は、これまで年間6〜7万tに達していたEDCの外部購入量を一気にゼロにすることが可能となり、それによって得られる合理化効果はおよそ10億円と見込まれている。この1年で進めてきた合理化策の効果との合計は約20億円となり、同社の体質改善はかなり進展することになる。
 
 しかし、同社の場合もかねてからユーザー各社に要請している価格修正が依然として認められないままきているため大幅な採算割れが続いており、しかもここにきて出発原料ナフサの価格が再度急騰しているので一段と深刻な事態に直面している。このため「需要家各社に窮状を理解していただき、早急に価格是正を受け入れていただくようお願いせざるを得ない」(平井祥司・同社社長)としている。