2004年01月29日
中国・瀋陽が大連含め自動車産業の大工業地帯
2010年に100万台めざす。石油化学も
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:トヨタ自動車

 中国遼寧省の訪日代表団が来日、28日、東京・港区の虎ノ門パストラルで同省の「自動車・部品工業投資環境説明交流会」を開いた。一行は劉国強同省副省長を団長に楊宝姜・華晨集団総裁、現地企業首脳ら約60人で編成、活発な商談を行った。

 中国中央政府は昨年、都市と農村の持続的発展計画とともに東北三省(遼寧、黒龍江、吉林)の旧工業基地振興戦略を打ち出した。この「東北工業基地振興」の政策がでていらい遼寧は三省のなかでトップバッターとして訪日代表団を派遣してきたもので、瀋陽から長春、大連にいたるベルト地帯での自動車および部品、流通センターの建設計画を説明、協力を求めた。

 同省としては1950年代から外資の誘致を含めて自動車工業の育成を進めてきたが、このほど独・BMW(外資合弁の第一号)の誘致に成功したのを機に、改めて「大規模生産基地」を目ざす事業展開を行う方針。

 日本勢としてはトヨタ自動車が瀋陽の華晨金杯汽車とすでに提携しているほか、三菱自動車がOEMで生産、エンジンや自動車部品メーカーも数多く進出している。金杯は4人乗りワゴン車ですでに40万台を保有、中国のシェア50%を持っている。また、マイクロバス生産の実績もあり昨年はワゴン車とあわせて7万5,000台を生産した。

 現地で企業活動を行っているアルパインの幹部は遼寧省の自動車産業について(1)一定の規模に(31万台)に達したが、まだ余力があり、協力を求めている(2)華晨グループには資金調達能力がある。昨年は2億ドルの輸出も行った(3)中国は国有企業の出資を守る(4)海外の自動車、部品メーカーとの協力は以前から実施している、と語る。

 劉団長は「ことしは東北工業地区振興の1年目、向う4年のうちに自動車ばかりでなく、石油、石油化学、造船、工作機、鉄鋼、建設、電子材料、バイオ、農業加工品までも手がけたい。自動車プロジェクトには完成車、エンジン、パーツなどがあり、研究開発では1.8リットルエンジン、ターボチャージャーなどがあげられる。ジーゼル車も9D32型の生産開始、遼寧省としてはジーゼル車で40万台を突破、全国のトップになった」と今後の取り組みを述べる。

 また「中国の昨年の自動車生産は400万台。米、日、独に次いで4番目となった。2005年は600万台、2010年には1,000万台に達し、遼寧は100万台を生産するだろう。部品関係も国際調達の市場になる。遼寧省ではいま東北三省の生産額の半分をつくっている。企業数は外資を含め1万5,000社、世界上位500社のうち9社が進出。昨年の外資投入は52億ドルにおよび全国の10%を占めた。水や電力も豊富で電力は現有の1,600kWを増強している。研究者も国家級の44人、38か所の研究所員などがおり、65大学から毎年45万人が卒業する」とインフラ、人材などの優位性を強調している。
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 なお、遼寧は軽自動車、アルミサッシ、プラスチックの生産で全国のトップ。また石油(昨年の生産量4,500万トン)、天然ガスの生産は全国の15%近くを占めている。

●参考記事
http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.cgi?CODE=12723