2004年03月25日
SM企業の春の定修、アジアでも相次ぎスタート
日本では全体の51.2%の設備が運休へ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ、ライオン

 北米に続いて日本を中心としたアジア地域でもSM(スチレンモノマー)メーカーの春の定修が相次いでスタートした。今年は多くのSMメーカーの定修が集中する年で、2月中旬から5月初旬までの間に合計5工場がそれぞれ1ヶ月にわたって運休する。全体の51.2%の相当する設備が止まる見通しだ。
 また韓国でも4〜5月に全体の4分の1に近い設備が同じく定修のため運休する。このため、アジア地域のSMの需給バランスはかつてないほど逼迫する公算が濃厚となってきている。
 
 この春に定修を実施する日本のSMプラントは、新日鉄化学・大分(年産能力19万t。2月中旬〜3月中旬)、旭化成ケミカルズ・水島(同78万t。3月中旬〜4月中旬)、出光石油化学・千葉(同3月末〜5月初旬)、日本スチレンモノマー(同23万t。4月初旬〜4月末)、電気化学(同24万t。5月初旬〜6月初旬)--計5工場の設備。総設備能力は年産169万tとなる。
 現在のSM業界全体の年間生産能力は9社合計で330万t。このうちの51.2%が2月中旬から5月5月初旬までの間、運休することになるわけ。
 同じ4月から5月にかけては、隣国・韓国でも現代石油化学が同48万tプラントを3週間、YNCCが同14万t装置をやはり3週間運休する予定だ。韓国の総設備能力の23.6%がとまる計算だ。日本と合わせると、極東地域で全体の39.0%が運休となる。
 これに先駆けて北米でも今年は大型定修が相次いで実施されている。BPケミカルズ、ライオンデル、スターリング、コスマー、シェブロン、ダウケミカルの計5社が1月以降に次々と運休して定修中。4月中旬までの運休設備の能力は、9工場合計で年産ベース438万tに達する見通しにある。全体の64.5%を占めることになる。
 SMの需要は、全世界的に今年も順調な伸びを遂げると見られている。2月に中国のユーザーが買い控えに踏み切ったものの、3月に入ると再び引き合いが活発となっており、今年の年間総需要量が前年を大きく上回るのは確実というのが大手商社やSMメーカーに共通した見方となっている。
 それに対する供給力は、目だった新増設がないだけでなく、今年が定修の集中年に当たるため世界全体で需要を下回ることになりそう。特に1〜5月の需給バランスは北米と極東における集中的な定修の影響で極度に逼迫する見通しとなっている。