2004年03月25日
富士フィルム、超高バリア性の有機ELフィルム基板へ
米バイテックスに資本参加、薄型化、長寿命化進める
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:富士写真フィルム

 富士写真フィルムは有機EL(エレクトロルムネッセンス)のフィルム製基板分野に進出することになった。同社は有機EL表示装置を手がける米国・バイテックスシステムズ(カリフォルニア州)に資本参加(1,750万ドル、筆頭)することでバイテックス社の「酸素・水分の透過を防止する超高バリア性薄膜」に関する基本特許を、有機ELディスプレイの発光層の封止システムとして事業化することになったもの。
 
 有機ELディスプレイは自発光原理による高輝度、高精細カラー、薄型化などの利点を生かして伸張する見通し。すでに携帯電話のサブディスプレイなどに実用化が進んでいる。とくに折り曲げ可能なフレキシブルディスプレイではLCD(液晶ディスプレイ)など他方式のディスプレイに差をつけた製品がつくれるとみられている。
 
 富士写真フィルムとしては発光層の色素や超薄膜形成技術で独自の技術をもっている関係で、バ社との共同研究が可能になるとしている。有機ELパネルメーカーはガラス製の基板を使っているが、プラスチックなどのフィルムが使えれば、同パネルのさらなる薄型化が進められる。
 
 超高バリアフィルムの原理は明らかにされていないが、水分や酸素の浸入によるパネルの劣化を防ぎ、長寿命化がはかれるのが、最大の特徴である。電子ペーパーへの応用も見込まれている。