2004年05月07日
旭硝子、ふっ素樹脂光ファイバー「ルキナ」を積極拡大
電送距離を500〜1,000メートルに延長、端末にも普及
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭硝子、松下電工、三井物産、三菱商事

 旭硝子は新事業プロジェクトとして開発・マーケティングを進めている全ふっ素樹脂光ファイバー「ルキナ」の事業化について、マンションやオフィスでの普及が順調に進んでいるため、今後より積極的に取り組むことになった。

 ルキナは慶応大学・小池康博教授と共同開発してきたもので、2000年3月に石英光ファイバーを超える高速通信(10ギガビット)が可能な光ファイバーとして発表、電送距離の延長、コストダウン、ブロサイド社との提携によるデジタルビデオ伝送システム(高画質な動画をリアルタイムで送受信)の開発などにつとめてきた。また、松下電工、三和電気工業などと共同で光情報コンセプト・プラグも実用化している。

 旭硝子では日本テレワーク協会や三菱商事、三井物産などとともに経産省から委託を受け、高速大容量プラスチックファイバー(GI-POF)の実用化実験を昨年3月まで行った。この実験はブロードバンド時代にはいり、高画質動画映像などの大容量の情報を自由にオフィスや家庭にある端末で扱えるようになりつつある現状に対応するもので、「ギガビット・アイランド」と呼ばれるマンションや小学校の施設間で検証し、他に類を見ない最高速のネットワーク環境をつくった。こうしたルキナの実用化とシステム化は、世界的にも初めてである。

 ルキナはマルチモード石英光ファイバーの機能をしのぎ100メートルで10Gbps(毎秒10ギガビット)の高速伝送を可能にし、次世代のネットワーク規格である10ギガビット イーサーネット(LAN規格の一種)にも対応できる。

 また、柔軟性・簡易接続性があり石英光ファイバーの10分の1の作業時間(1分)で接続できる。接続コストは全配線コストで最も大きなウェートを占めており、これを大幅に低減することになる。

 ルキナの施工はすでに100軒を超えているが、従来、200メートルていどだった電送距離が500〜1,000メートルに伸びたことやファイバーそのもののコストダウンによって需要がふえているという。

 光ファイバーを使ったブロードバンドの普及は一時「FTTH」(ファイバー ツー ザ ホーム)の呼称でもてはやされたが、コスト高でここ数年はIDSLが伸びた。IDSLは1,000万軒を超し、光ファイバーはようやく100万軒を上回ったところだが、同社では光ファイバーが石英、銅線などに代って端末でも使われるようになっており、今後に期待できるとしている。

 同社のルキナ生産は静岡県裾野工場に昨年8月年産9,000キロメートル設備を完成、順調な操業を続けている。当面の売り上げ目標は年500億円。