2004年07月07日
産業再生機構「3年で再生」を前提に18件支援決める
ことし11月までに受け付け終了 「企業」でなく「事業」再生めざす
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:カネボウ

カネボウ、三菱自動車、ダイエーなどの再生計画が進むなかで、(株)産業再生機構の斎藤惇・理事長の産業再生についての基本的な考え方、機構の役割、再生のイメージ、現在の取り組みなどを聞いた。

同機構は発足していらい一年強を経過したが、すでに18件の支援を決定。今後は来年3月までの間に残された案件に対応するが、支援の申し入れ企業の再建はあくまで3年以内であり、審査期間を考慮すると、ことし11月が期限になるとしている。同理事長の発言要旨は次の通り。

1、機構は昨年4月にスタート、ことし4月から業務を開始した。欧米のビジネスにたずさわった人を中心に40歳前後の専門家(会計士、税理士、不動産鑑定士など)を集めた。91%は民間人で当初70人、いまは180人ていどになっている。再生の対象は事業であって企業ではない。再生の基準は法律で定めているが、たとえば生産性の6%アップ、有利子負債を10年間で返却できる企業、3年以内で経常黒字にできるところ、労組の同意があることなどである。

1.機構の役割としては事業の再生モデルの提示、再生専門家の育成、再生市場の創出と拡大。企業再生のイメージは入り口として経営不振企業のメインバンクなどから債権を買いとる。この場合、債権を100として、たとえば30%で買いとり、残りを放棄させる。その査定がコア部分となる。これはあくまで提案であって、銀行側に強制するものではない。計画の出口は再生企業に事業スポンサー、プライベートエクイティファンド、インベストメントバンク、銀行などからのニューマネーを引き出すという形で支援し、再生機構の出融資分を売却する。

1.買い主は意図的に再生企業のマジョリティをとる必要がある。プロがみてバリューがないといけないし、事業プロセスの抜本的改革を行う。融資した元本が返ってこない状況というのは市場原理が崩れている。不振企業を生き返すことができなければ債権を放棄せざるをえない。ここ10年のデフレで通貨が強くなることはなく、不良債権を処理するのはむずかしい。資本の世界の競争のなかで、日本は米国に10年遅れている。機構は失敗がないように配慮する。不振企業をふるいにかけるような機関ではない。もってきた再生案をベースにして民間銀行と再生案をつくるが、バランスシートの改善がポイントになる。