2004年07月20日
カシオがアモルファスシリコンTFTで有機EL
EL層の3層化に成功、画面大型化へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北パイオニア、パイオニア

カシオは高分子有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイの開発について、アモルファスシリコンTFT(薄膜トランジスタ)を用いて有機EL層の3層構造化に成功したため、工業化を急ぐことになった。

有機ELディスプレイは高コントラスト、高色純度、高速応答、広視野角、低消費電力、薄膜化などにすぐれており、材料、プロセス、構造・駆動方式などで開発が進められ、これまでに低分子型の低ポリシリコンTFTを用いた製品が、東北パイオニアなどによって製品化されている。

カシオは昨年10月に独自のハイパーアモルファスシリコンTFTを使った電流階調指定システムを開発し、アモルファスシリコンTFT駆動の有機ELディスプレイを実現し、その成果を発表していた。今回は新しい有機EL材料と塗布プロセスの開発により、高分子型で初めて中間層を導入した3層構造(従来は2層構造)を持つ有機ELディスプレイの実用化にメドをつけたもの。

これにより青、緑色では30%以上の効率向上、ダイオード特性改善、2倍以上の長寿命化が達成されたとしている。高分子有機ELとアモルファスシリコンTFTを組み合わせた同社の有機ELディスプレイは、低コスト、高品位、大画面ディスプレイを実現できる見通し。画面輝度は450cd/〓(前試作品の3倍以上)に向上、コントラストも黒輝度が測定限界側定以下になった。

同社のハイパーアモルファスシリコンTFTは高精細のアモルファスシリコンTFTで、高精細・高開口率化技術や高透過・高色純度カラーフィルター開発、低抵抗線技術、超ファインCOG接合技術が確立できたとしている。電流階調指定システムでは定電流駆動トランジスタに直接電流変調データを書き込むため、TFTの特定差・変動にかかわらず、良好な精度を維持する。