2004年09月01日
昭和電工、テトラロン類合成用の新触媒開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:昭和電工、NEDO、化学技術戦略推進機構

 昭和電工は1日、医農薬等の中間体「α-テトラロン類」の合成のための新触媒を開発したと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および化学技術戦略推進機構(JCII)の次世代プロセス研究「新固体酸触媒プロセス技術の開発」プロジェクトに参画し、開発した。今後、高機能触媒TPFを中心として、実用化に向けた開発を急ぐ。

 α-テトラロン類(参考図参照)とは、ベンゼン環と6員環ケトンの2つの環構造を持つ特異な化合物で、殺虫剤のカルバリルや、抗うつ剤のセルトラリンなど、医農薬合成用の基礎原料となる。セルトラリンの場合、売上げは年間約3000億円、これら医農薬の合成に用いられるα-テトラロン類の市場は50億円を越えると想定されている。

 α-テトラロン類は現在、塩化アルミニウム等の金属化合物を使い、多段階の反応工程を経て合成されている。このため廃棄物が大量に発生しており、環境負荷を低減するプロセスの開発が求められていた。

 昭電の新しい合成方法には、酢酸、酢酸エチルなどアセチル化学の技術を活かして開発した、新規の固体酸触媒が使用されている。特徴は次の通り。

(1)新規固体酸触媒を用いることにより、従来の塩化アルミニウム等を用いる合成方法に比べて、廃棄物が大幅に削減できる。

(2)原料であるパラキシレン等ベンゼン誘導体と環状ラクトンからα-テトラロン類を一段階で直接合成することが可能であり、従来の多段合成法に比べてコストを大きく低減できる。

(3)同様の合成法を用いることにより、現在開発が進められている新規医農薬の合成中間体である、ベンゼン環構造と7員環ケトン構造を持つα-ベンゾスベロン類(参考図参照)の合成が可能となる。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/0901sdk.doc