2004年09月24日
PXの10月のアジア価格、さらに50ドル上がって940ドルに
新日石化学が大手需要家と話し合いまとむ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:新日本石油、新日本石油化学

 新日本石油化学がアジア各国の大手需要家との間で進めていたPX(パラキシレン)の10月分の価格交渉が決着した。
 9月分をさらにトン当たり50ドル上回る940ドルとすることで双方が合意した。当初同社では960ドルへの引き上げを計画していたが、需要家の強い抵抗にあって上げ幅を20ドル縮小して合意にこぎつけた。他の芳香族企業もこれに近いレベルでの値上げに踏み切ることになりそう。
 
 これでアジアにおけるPXの価格は3ヶ月連続で引き上げられることが確定した。7〜9月期の平均価格を112ドル上回ることになる。前年同月に比べると320ドルの値上がりである。率にすると約52%のアップとなる。
 PXユーザーが今回も値上げを受け入れたのは、PXの供給力がほぼ従来と同じ規模とどまっているのに対して需要が中国のポリエステル繊維向けを中心に引き続き拡大していて需給バランスが一段とタイトになってきているため。主力ユーザーのPTA(高純度テレフタル酸)メーカーは、中国のポリエステルメーカーをはじめとした大口需要家に対する供給責任を果たすため原料PXの安定確保を優先せざるを得なくなっており、PXメーカーの値上げ要求を完全に押し戻すのは事実上不可能と言える状況にある。
 もっとも、ポリエステルの需要は中国でポリエステル繊維の冬ものの生産が最盛期に入っていることもあって今後も引き続き拡大していく公算が強い。このため、わが国のPTAメーカーは今回のPXの値上がり分もすかさずPTAの輸出価格に転嫁していくことになろう。