2004年12月17日
宇部興産、タイTSL社のブタジエンラバー設備 大幅増強
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産、丸善石油化学、丸紅

 宇部興産は17日、タイのグループ会社TSL(THAI SYNTHETIC RUBBERS CO.,LTD)が、合成ゴムBR(ブタジエンラバー)の増設を決めたと発表した。06年1月の完成をめどに年産能力を現有56,000トンから72,000トンに引き上げる。

 同社のBRは、コバルト触媒を使いブタジエンを多段重合して製造する。耐磨耗性・加工性に優れ、タイヤ、家電・OA機器用ポリスチレン改質材向けなどに需要が拡大しているところから今回の増設となった。

 現在、千葉石油化学工場に特殊品を中心とした年間85,000トン、タイのTSLには汎用品を中心に同56,000トンの生産設備をもち、アジア最大だが、今回の増設で、世界シェアは10%に近くなり、独立系BRメーカーでは世界トップクラスとなる。

 BRの需要は2002年春期以降、日本のタイヤメーカーの増設などによって世界的に回復基調にあるが、ポリスチレンの改質用途向けも伸長し、国内海外ともに好調に推移している。この傾向は今後も継続すると予測されている。

 一方、原料ブタジエンは供給不足と価格高騰が続いているが、同社は千葉地区に丸善石油化学と合弁で「千葉ブタジエン工業」をもち、安定調達とコスト競争力の面で強みを発揮している。今後も旺盛な需要に対応して、日・タイの世界二極体制で事業拡大を図っていく方針。

【TSL(THAI SYNTHETIC RUBBERS CO.,LTD)の概要】
◇設立:1 995年12月
◇工場所在地:タイ国ラヨン県
◇株主:宇部興産73.1%、丸紅13.0%、TSRC Corporation(台湾)13.0% 他
◇生産能力の推移:50,000トン(1998年1月操業開始)、56,000トン(2004年6月デボトルによる能力増強)
◇代表: Dr. Charunya Phichtitkul (宇部興産執行役員兼務)
◇従業員数:80人
◇売上高:2 ,015百万バーツ(2003年実績)

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/1217ube.pdf