2005年01月11日
ことしは「変化のない年」と業界長老
ただ「とどまることは後退」の認識が必要と
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:なし

 05年のわが国化学工業は、どのような年になるのであろうか。業界長老の一人に展望してもらった。「ひと口でいうとあまり大きな変化はないと思う。ただ産業や企業にとって前に進まず、現状にとどまるということは、周辺の国々が前進するであろうから、相対的には遅れをとる。やはりチャレンジ精神が必要だ」というのである。氏の要旨は以下の通り。
 
 疫病にはじまって震災に終わった昨年の世界情勢に比べると、ことしのわが国経済は安定した状況が続くだろう。イラク、北朝鮮問題は目を離せない政治問題だが、エネルギー、環境問題はあるていど落ち着いてきている。
 
 最大の問題だった石油価格は1バレル50ドルをピークに下降線をたどっている。中国の急発展は資源の供給不足をもたらしているが、同国のいうマクロコントロールが効きはじめているように思う。ただアジアの安定を考えると中国の発展スピードが速すぎる。年9%の成長では影響が出よう。
 
 化学工業については、昨年は中国の発展によって日本の産業が軒並み数量景気にわいた。この結果、化学品の価格が上昇し、そのうえ品不足の状況も出はじめた。これは一時的なものであり、喜んでばかりいられない。やはり絶えざる品質の向上、技術革新を進めなければならない。
 
 日本の化学各社は「あれもこれも手がける」という時代が終わって、独自の技術、製品の開発に力を入れるようになっている。世界に先んずる技術開発こそが、生き残るための手段だが、この努力を加速させねばならない。
 
 ただ、向こう3〜5年は競争に耐える新製品は見えてこないのではないか。とくに医薬、農薬に注目している。ファインケミカルも重要だ。
 
 汎用品でみると、たとえば石油化学の場合、コストダウンのために大型化が必要である。エチレン設備の大型化の時代は終わったとする見方もある。コストと償却だけでみればそれでいいのかも知れないが、エチレンやプロピレンを安価に入手できるという保証はない。
 
 もちろん国内での設備建設にこだわることはない。業界の力を保持するという認識が必要と思われる。
 
 ロシア、インド、カンボジアなどでは石油やコンピュータで力をたくわえ、自国の産業整備に力をいれはじめている。中国にしても、乱立とみえるほどエチレン100万トン級の計画が続出している。
 
 将来に向けて今何が必要なのか問われている。共同、合同の思想があってもいいのではなかろうか。