2005年03月09日
ヴイテックの平井社長が会見、「3ヵ年経営方針」を説明
新ビジネスモデルの構築で3年後のROAを5%に引き上げ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:ヴイテック

 ヴイテックの平井祥司社長は9日に有馬進常務など同社幹部とともに記者会見し、今年1月からスタートさせた中期経営計画「3ヵ年経営方針」の概要を説明した。
 
 同社長がこの日明らかにした3ヵ年(05年1月〜07年12月)経営方針は、
 (1)中国市場を重要なマーケットと位置づけて塩ビ製造技術のライセンス等ナレッジビジネスを積極的に展開していく
 (2)塩ビ樹脂の開発から製造、物流、使用、廃棄に至るまでの全てのプロセスでのリサイクル化を進めていく
 (3)生産体制の最適化、生産革新活動の深化等によってコスト競争力を強化していく
 --の3点を基本課題に掲げて体質の強化と飛躍を実現していくというもの。
 
 同社長は、これら3点を骨子とした経営方針を今回新たに打ち出した背景について「さいわい前期は、2000年4月の創立いらい懸命に取り組んできた徹底した合理化策の進展と中国の需要の拡大等の環境の好転によって創業いらい初の黒字決算を実現できた。しかし、これからの厳しい国際競争を勝ち抜いていくには“夢と挑戦”を旗印にした新たなビジネスモデルの構築が不可欠と言える。そこで、三菱化学グループが今年4月から新中期計画《革新-Phase2》をスタートするのに合わせて、当社も当社固有の経営資産をフルに生かして経営体質をさらに強化していくべく具体策をまとめて実行に踏み切ったもの。3年後のROAとしては5%を実現したい」と説明、それぞれの基本課題ごとの具体策も披露した。
 
 うち(2)のリサイクル活動については、計画の第一弾として今年4月から水島で産業系ならびに家庭系の塩ビ系廃プラスチックから回収した塩のリサイクル活動をスタートさせることにしている。これは、倉敷市、諌早市、徳島市の各自治体が収集した塩ビ系廃プラをJEFエンジニアリングが1,200度Cの高温でガス化溶融して回収した塩素を塩素ガスとして同社で引き取って再利用していくというもの。年間25万トンの廃棄物から4,000トンの原料工業塩を回収して塩酸・苛性ソーダおよび塩ビ樹脂原料として活用していく。建築廃材やカーシュレッダーダスト等に含まれる塩素を100%リサイクルできる点が大きな特徴といえる。

 同社ではこれに続いて、同じく塩ビを含む廃プラのマテリアルリサイクルも06年からスタートさせる計画。このためNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から平成16年度産業技術実用化開発費助成金の交付を受けて三菱化学と共同で技術開発に取り組んでいるところ。農業用ビニルや電線被覆などの軟質製品だけでなく、パイプや建築資材などの硬質製品も効率よくリサイクルできる技術を確立していきたいとしている。