2005年06月10日
「高効率酸化触媒技術」研究組合スタート
ダイセル化学、三菱化学、丸善石化の3社が参加
【カテゴリー】:行政/団体(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:ダイセル化学、丸善石油化学、三菱化学

 関西大学工学部の石井康敬教授らが開発した、画期的な高効率酸化触媒技術(NHPI)を利用し、実用化に結びつけようという研究組織「高効率酸化触媒技術研究組合」が発足し、経産省化学課への補助金交付申請手続きを開始した。
 
 同組合のメンバーは、ダイセル化学工業、三菱化学、丸善石油化学の3社で、東京・港区のダイセル化学本社内に事務所を置き、理事長に石井康敬・関大教授、専務理事に後藤達乎氏(前ダイセル化学企業倫理室長)を選出し、就任した。今後は各社がそれぞれ対象物質をえらび、実用化に向けた研究を行う。研究期間は3年。
 
 同触媒技術は、プラスチックや合成繊維の原料となるカルボン酸、アルコールなどの含酸素化合物を製造する場合に極めて効率がよく、プロセスコストが大幅に低減できる特徴がある。
 
 ナイロン原料のアジピン酸は現在、シクロヘキサンから2段階の反応を経て生産しているが、これがソフトな条件のもと、1段階で合成できる。高温の亜酸化窒素が副生しないため省エネ効果が大きいという。またトルエンから常温・常圧で安息香酸を製造することも可能になるなど、将来広い分野への応用が期待されている。
 
 化学産業界は、現在多くの化学物質を多様なプロセスによって生産しているが、それらのプロセスの60%以上は「酸化反応プロセス」が占めており、酸化反応技術はいわば化学産業のキー・テクノロジーとなっている。
 
 化学課でも同技術は「触媒としての効率が高く、省エネ型、コスト競争力の優れた技術」と評価しており、初年度分1億5,000万円の補助金を交付することにしている。