2005年06月17日
PE製ガソリンタンクの普及が進展
04年の樹脂消費量は前年の39%増に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:日本ポリエチレン

 乗用車のガソリンタンク(PFT)の樹脂化に拍車がかかってきた。HDPE(高密度ポリエチレン)業界筋の調べによると、昨年1年間にPFT向けに消費されたHDPEの総数量はおよそ2万5,000トンに達した模様。前年の消費量は1万8,000トンだったので、昨年の伸び率は約39%ということになる。汎用樹脂の中では最も高い成長率といえる。
 
 HDPEを中心とするPFT向けプラスチック材料の最大供給メーカーの日本ポリエチレンでは、HDPEの今年のPFT向け出荷数量は3万トンを超えるのが確実で、さらに来年以降も一段と樹脂化が加速されると予想している。

 乗用車を中心としたガソリンタンクの樹脂化に先陣を切ったのは米国のビッグスリーで、2001年における樹脂化率は65%、樹脂消費量は8万4,000トンに達したとされている。その後も米国の樹脂化率は拡大の一途をたどっているようで、わが国のHDPE業界の中には今年の米国の樹脂化率が80%になると予想する向きが多い。樹脂消費量は7万トン強になると想定している。
 
 米国の自動車メーカーがいち早くPFTの採用に踏み切ったのは、急速な環境規制の強化に対応していくには、既存のスチール製タンクから軽量でしかも腐食の心配がない樹脂製タンクに切り替えていくのがベストと判断したため。任意の形状のタンクを作れるので、車体のスペースを有効に生かせる点も有力な材料となったといわれる。同様の理由からEUや中国でもPFTの採用が急速に進展、このため日本の立ち遅れがひときわ目立つかたちとなっていた。
 
 しかし日本ポリエチレンの調べによると、03年初頭から日本の自動車メーカーの間にも軽量性と耐腐食性に注目して樹脂化に踏みきるところが相次ぎ、04年、05年と一気に加速された。現にニューモデルには必ずといってよいほど樹脂タンクが搭載されている。5月発売のホンダのステップワゴンにも日本ポリエチレンによるHDPEとガスバリア樹脂の組み合わせの複合ブロー成型タンクが搭載されている。
 
 京都議定書の発効もあって環境問題に対する市民の関心の高まりに自動車メーカーの樹脂化機運を引き上げる重要な要素となっていると言える。
 
 日本ポリエチレンでは、08年には樹脂化率が60%を超えると予想している。樹脂の消化量は4万トンと試算している。他のHDPEメーカーもほぼ同様の見方で、08年以降もさらに樹脂化率は引き上げられていくものと見られている。