2005年07月19日
中国のPE袋企業、多くがEUに応訴の構えなし
米国向けに続いてEU向け輸出も縮小の公算
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 EUによるPE袋のアンチ・ダンピング(AD)提訴に対して中国のPE袋企業がどう対応するかが注目されているが、わが国の大手商社が現地で入手した情報によると中国のPE袋メーカーの多くは今のところ応訴する構えにない。このままいくと、中国のPE袋メーカーによる今年秋以降のEU向け輸出量は昨年の米国向け同様に大幅に縮小する公算が極めて濃い。同じくEUがAD提訴の対象としているタイやマレーシアのPE袋メーカーの多くも応訴する気配がない。このため、最近のわが国のPE袋メーカーの間には、これら3カ国が余剰玉対策として対日輸出に一層拍車をかけてくるのではないかとの不安感が広がっている。
 
 商社筋によると、今回のAD提訴はEU域内のPE袋の総生産量の25%を占めるPE袋メーカー30社の申し立てをEU委員会が取り上げて精査に乗り出したもの。かねてからアジア諸国の中でもPE袋の生産と輸出の両面で圧倒的なシェアを占める中国のPE袋企業は、製品の多くを米国、日本、欧州の各国に輸出してきており、その量は年々拡大の一途をたどっている。
 
 中国の輸出通関統計によると、02年の総輸出量は62万842トンであったが、03年には30.2%増の80万8,129トンとなり、さらに昨年はそれを11.4%上回って89万9,902トンに達した。最新の大型エチレンプラントで作られるエチレンがそのままPE袋となって輸出されている計算になる。輸出金額は02年が6億882万7,000ドル、03年が8億1,209万4,000ドル、04年が10億5,080万8,000ドルとなっている。

 しかし、こうした積極的な輸出拡大策に対しては輸出先の間に拒否反応も広がりつつあり、昨年8月に米国がADのクロ裁定を下して平均77.33%を課税する措置に踏み切った。このため中国のPE袋メーカーの多くが秋口以降の対米輸出を大幅に縮小、替わって欧州向けの拡大に積極的に取り組み始めていたが、今回はその欧州からもAD提訴を受ける事態となった。
 
 この問題は、わが国のPE袋業界にも少なからざる影響をおよぼすと見られる。わが国に中国から持ち込まれるPE袋の数量は財務省の輸入通関統計によると04年で18万8,323トン(前年比14.1%増)に達していて、国内総需要量の30%強を占めるに至っていると見られている。

 一方の中国の輸出通関統計による04年の対日輸出量は17万6,408トン(同25.1%増)で、米国向けの22万8,831トンに次ぐ第2位の規模となっている。伸び率も他の国を大きくリードしている。それだけに、中国の多くのPE袋企業が米国向けに続いてEU向けも縮小を余儀なくされることになると余剰玉を日本に振り向けてくる確率はかなり高いということになる。折から日本では、レジ袋の有料化による使用抑制の動きがスーパーの間で活発になっている。国産メーカーの立場は一段と厳しくなりそうだ。