2005年08月11日
PPの自動車部品用Gの価格体系に改善の見通し
決済期間の短縮と底上げに各社挑戦
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:その他

 PP(ポリプロピレン)各社がかねてから自動車メーカー各社に受け入れを求めてきた自動車部品用品種の価格体系の抜本的な改善要請が、多くの自動車メーカーの間で部分的、段階的ながら容認される可能性が出てきた。すでに一部では新たな価格体系による取り引きも始まっている模様で、これが同品種の価格体系全体の大幅な改善の起爆剤になるのではないかとの期待がわが国石油化学業界全体の間に膨らんできている。
 
 PPメーカーの多くが自動車メーカー各社に受け入れを要請している改善項目は2点。一つはナフサ価格スライド制による決済の適用期間の短縮であり、そしてもうひとつは価格全体の底上げである。
 前者についての要望内容は、実際の入金時期が樹脂の納入の8ヵ月後となる現在の「6ヶ月単位の後決め方式」を「3ヶ月単位の後決め方式」に改めて欲しいというもの。ナフサ価格が上昇一途をたどっているため、決済時期の大幅な遅れ(時期ずれ)によって生じ続けるのが不可避となっている慢性的な採算割れから何とかして脱却したいと考えての提案である。これに対して自動車メーカー側は、現在のシステムは数万点にのぼる部品全てに適用しているものであり例外を設けると部品購入システム全体のバランスが崩れることになるので容認できないとしてきた。しかし最近は、多くの部品や素材メーカーから同様の改善要求が相次ぐようになってきたため、あるていどの期間の短縮もやむなしとの考えを匂わすところが出始めている様子だ。
 
 一方、後者の要請は、低位に据え置かれたままとなっている基本価格の底上げを求めるもの。PP各社は、自動車部品用の品種については厳しい品質要求をクリアするため開発と製造に他のグレード以上のコストをかけてきている。ところが現在の価格はそれに適合したものとなっておらず採算を確保できないままきているので赤字から抜け出すには採算ラインへのベースアップが不可欠として、相次いで説得に乗り出しているところ。この点についても自動車各社は当初は強く拒否してきたが、ここにきて完全な拒否を続けるのは得策でないとの判断から一定の底上げを認めるところが出てきた模様。
 こうした動きはまだ自動車メーカー全体にまではおよんでいない。しかしPPメーカーの間には、これまで長期にわたって立ち塞がってきた部厚い壁の向こうにようやく光明を見出せるようになってきたと述べる向きが増えてきている。最重要課題のクリアに確かな手応えを感じ始めている様子で、このため各社とも今後の折衝に一段と力を入れていくことになりそう。