2005年08月29日
三菱化学産資、一般乗用車向けC/Cブレーキを企業化へ
欧州向け高速車種向けを中心にサンプル配布開始
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱化学産資

 三菱化学産資は石炭ピッチ系炭素繊維のプリフォームにケイ素を溶融含浸させたブレーキ(C/Cブレーキ)の一般乗用車用向け品種の開発に成功、日本や欧州の自動車メーカーならびに自動車用ブレーキメーカーを対象にサンプル配布を開始した。
 
 同社が今回開発した一般乗用車向けC/Cブレーキは、これまで同社が航空機用やレース用2輪車用、さらにはF1車用に製造・販売してきたC/Cブレーキを一般の乗用車向けに改良したもの。(1)密度が1立法センチメートル当たり約2.5グラムなので重量が既存の鋳鉄製ブレーキの3分の1と軽いこと(2)1,000℃以上の耐熱性を持つため高速運転時の制動性に優れること(3)100℃以下の低温時や雨天での走行にも優れた制動性を発揮すること--等が大きな特徴。
 このうちの(1)の点については、単にブレーキ板の軽量化にとどまらず、ブレーキ周りの各種の支持体の重量の削減も同時に実現できて車体全体の軽量化が図れるので燃費の向上と環境負荷の軽減に大きく寄与できるのが大きな強みと同社では説明している。また(2)の点に関しては、欧州の高速道路などでは通常の走行速度となっている時速200キロメートルの高速走行時でも安定的に優れた制動機能を発揮することが確認済みという。
 
 同社では、欧州で人気の高い高速走行車向けを中心に市場開拓していく考え。このため、現地の自動車メーカーやブレ−キメーカーはもとより、欧州市場に本格参入を考えている日本の自動車メーカーにも採用を積極的に働きかけていくことにしている。欧州で強力な基盤を構築するために、世界有数のブレーキシステム企業として知られる伊・ブレンボー社と販売面で提携することも検討している。
同社では潜在市場規模を年100億円と想定、5年後に年50億円の売上げを目指す。