2001年09月11日
経産省開発予算要求、「ナノテク」中心に新規4プロジェクト
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:丸善石油化学、経済産業省

 経済産業省化学課は2002年度概算要求の中に、新規技術開発プロジェクトとして、次の4つの計画を盛り込んだ。いずれも次世代型革新プロジェクトとしている。

(1)高効率マイクロ化学プロセス技術
幅が数ミクロン、長さが数百ミクロンという微細な流路で連続的に化学反応を行うことにより、従来の化学反応で得られない収率や合成を可能にする。とくにファインケミカル製造の生産に有利で、開発段階から量産化までスケールアップもしやすい。研究期間は2006年度までの5年間。初年度分要求額10億円

(2)ナノ機能粒子のカプセル成形技術開発
ナノレベルで構造制御された粒子(とくに顔料)をカプセル化する。強固なカプセル壁をつくるための合成技術や、カプセル内で微粒子を安定化させるための技術などを開発する。
 現在の有機ELディスプレイと異なり、いったん表示された文字や画像は電力なしで保存できる。研究期間は2006年度までの5年間。初年度分要求額7億円5,000万円。

(3)製造工程を省略したプラスチック製造技術
プラスチック製品を成形加工するには、原料モノマーをペレット状にする必要があるが、そこにいたるまでには加熱・冷却工程をくり返している。このため
ペレット段階を省略し、モノマーをパウダーにして直接フィルムなどの加工製造をつくる技術を開発する。4分の1以上のエネルギーが省略できる。研究期間は2004年度までの3年間。初年度分要求額15億円。

(4)内部熱交換による省エネ蒸留技術開発
 蒸留塔はふつう塔の上部で濃縮し、下部で回収する構造になっているが、加熱したあと冷却しているためエネルギーロスが大きい。HIDiCと呼ばれる内部熱交換型蒸留塔は、濃縮部と回収部を分割し、濃縮部の廃熱を回収部で活用することによって大幅な省エネを実現する技術。丸善石油化学、関西化学機械製作、木村化工機3社はすでに共同で独自プロセスによるパイロットプラントを完成、実証テストを実施中である。30%の省エネ効果を期待。研究期間は2005年度までの4年間。初年度分要求額6億円。