2006年01月24日
大洋塩ビ、2月の対中輸出価格を大幅アップ
1月比トン85ドル高の800ドルで中国側と決着
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:大洋塩ビ

 大洋塩ビはこのほど中国の塩ビ加工大手企業との間で、同樹脂(PVC)の2月の輸出価格をトン当たりCFR795〜800ドルとすることで合意した。1月の価格に対比すると、ほぼ12%の値上げとなる。同社のオファー価格がそのまま受け入れられた。

 中国のPVCの輸入価格は昨年11月をピークに下降を続けており、同社の契約価格も11月の890〜900ドルを頂点に12月が740〜750ドル、今年1月が平均715ドルと2ヵ月連続して下がっていた。

 それが今回一転して大幅値上げを実現できたのは、同国内におけるPVC、特に高品質のPVCの需給バランスがここにきて急速にタイト化してきたためという。中国国内ではかねてから北部のカーバイド・アセチレン法企業が大幅な新増設を実施、このため高レベルの品質が要求される輸出加工製品向けを除く国内の汎用分野の市場では低価格を売り物とするカーバイド法企業の製品への切り替えが始まっていた。

 ただし、欧米向けに年間200万トンの規模に達しているといわれる加工製品輸出に使用されるレジンの場合は、品質面で需要家ニーズを満たせないカーバイド法の製品ではカバーできず、したがって引き続き全量が日本や台湾など海外各国からの輸入品でまかなわれてきている状況にある。

 しかも、ここにきてカーバイド法企業の多くが原料塩素不足や寒波の襲来に伴う需要の減退で大幅減産を余儀なくされてきたため国内のエチレン法塩ビの需要が急回復、それに伴い大洋塩ビ等が得意とする輸出加工製品向けの高品質グレードの需給もタイト化してきた。

 今回、大洋塩ビの値上げ要求を中国の大手加工企業が満額で受け入れたのは、こうした客観情勢の変化が大きく作用してのものだが、中国市場、特に製品輸出で事業の拡大・発展を目指す需要家は今後も高品質のエチレン法PVCに全面的に依存していかざるを得ない点を十分認識しているだけに、カーバイド法企業が無理な増産に再度踏み切ることがなければ同国のPVCの輸入量が減ることにはならないとの見方が関係筋の間に広がっている。

 なお大洋塩ビの2月の対中輸出契約数量は2万5,000〜2万6,000トンで、通常の規模を7,000〜8,000トン上回ったと見られる。