2006年01月27日
浙江省温州市の活力・マネジメントと産業集積化
世界に商業ネットワーク 多様性が持ち味
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 上海や北京のマンション集団買い付けなどで知られる温州マネー。自立心の強い、独特の郷鎮(町、村)企業集団の存在は有名だが、その成り立ち、現状などについて、東大社会科学研究所の丸川知雄助教授の話を聞いた。「温州市にみる産業集積化」のテーマだったが、大要、以下の通り。

 中国のユダヤ人とまでいい切る温州の人達。世界を股にかけ、商業ネットワークを築いている。最近は上海などの高層マンションなどを買い付けて、高値で売りつけるという商法(沙房団)で知られた。都市経済学、農村工業化などに優れ、温州ではいくつかの産業を集積した。

 温州市は人口740万人、面積11,784平方キロ(秋田県クラス)。行政的には11の県級(市、区、県)行政区と280の郷鎮に分けられている。1平方キロ当たり400人以上の産業集積地が153か所ある。市中央の鹿城市区(人口約61万人)が最も大きくて15業種、人口が希薄な沙頭鎮(ゴムぐつ、人口約1万6、500人)もある。各地とも産業立地に適しているとはいえない。
 
 市の産業としては皮ぐつ、ライター、レザー、ボタン、ジッパー、ファスナー、バルブ、電気部品(ヒューズ、ブレーカー、スイッチ)、鉄パイプ、ボルト・ナット、プラスチックロープ、自動車部品、バイク、印刷、豚の皮革、墓石、アパレルなど多様だ。

 市の産業は清朝時代(1796-1820)の後期に皮革、皮ぐつから始まったとされる。1949年以降、統合、国営化(200社余)が進み、そのあと改革開放いらい民営の産業として復活した。1980年代に最盛期を迎え、以後、人工皮革に移った。1987年にスタートした温州最大のくつメーカー、奥庚集団が有名である。
 
 1979年にプラスチックぐつが登場し1984年ごろゴムぐつに移行した。塘下鎮(人工23万人)では自動車部品産業が発達している。5つの鎮が合併したところで、いま1500社を上回る。1947年には47社だった。以前は製鎖、ポンプ、コンプレッサー、ボルト・ナット、バルブ、錠前の生産地。

 永中鎮は石油化学用の中堅バルブメーカーが上海に次いで多い。人工皮革の龍湾鎮(27万人)は1984年に2つの郷を合併、「農民都市」になった。
温州人は世界の市場からの情報をいち早くとらえ、これに応えるという模倣、バーゲニングパワーとイノベーションで生きている。

 目的とするところは地元の繁栄に尽くし、資金を蓄えて、故郷に帰ることといわれる。行政力が弱く、知的所有権の取り締まりが進まない中、民間の力で繁栄を築くというやり方が、何時まで続くか。ともかく現在は活況をみせている。人口の移動は2001年で市外・海外へ117万人が流出、流入は135万人である。