2006年02月27日
河北省唐山市、渤海湾曹妃甸に4大プロジェクト 企業誘致開始
鉄鋼、石油・石化、発電、大型埠頭を09年までに建設
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:松下電器産業

 天津、北京に近く、渤海湾に面する唐山市は中国第11次5カ年計画(2006-10年)の一環として、市の東側、曹妃甸港区に鉄鋼、石油・石油化学、電力、大型埠頭の4大プロジェクトを建設することになり、具体計画を作成して日系企業をはじめ外資の誘致を開始した。

 同プロジェクトは浅瀬の曹妃甸区を埋め立て、華北・東北・西部3地区の石炭資源などを集める一方、鉄鉱石、天然ガスなどを輸入し、広州を中心とする華南地区、上海の華東地区に対抗する環渤海湾区の国際産業基地として建設しようとするもの。

 2010年の第1期(105平方キロ、総投資額2,000億元、1元は約14円)から2030年(第3期、同1兆元)までに310万平方キロの用地に拡張する予定。天津、北京と連動する計画である。

 昨年10月に政府の認可をえて、道路、鉄道、港湾、水路、送電などのインフラを整備していたが、2010年までの第一期計画をまとめたため、並行して進めている石炭積み出し埠頭、造船計画などを含めて24日に発表した。主な内容は以下の通り。

<鉄鋼区>中国第2位の首都鋼鉄と6位の唐山鋼鉄が合併した首都京唐鋼鉄が、5,500立方メートルの高炉4基を建設。第1期950万トン(投資額667億元)、第2期(2015年)には1,500ー2,000万トンに拡張(計2、200億元)。すでに12万平方メートル(最終19万平方メートル)の埋め立てを完了、9月に杭打ちを始める。

<石油・石化区>中国石油が年1,500万トン級石油精製、1,700万トンの石油タンク、中国石油化工が年100万トン級エチレン設備を建設する。エチレンは2008年末完成の予定。投資額270億元。誘導製品の生産では外資の参加を求めている。

<電力区>香港の華潤集団が3月から土地造成を始め、出力660万キロワットの発電設備を建設する。また1,000MWの超臨界火力発電機6基、300MWのLNG火力2基も。投資額270元。2007年中の操業を目指している。余剰電力を不足の天津、北京などに供給する。


<埠頭・物流区>鉄鉱石は25万トンの鉱石運搬船用埠頭2バースを2005年12月に完成した。(荷揚げから高炉まで直接ベルトコンベアで運ぶ)6月に40万トン同埠頭2バースを着工する。(合計年間取扱量7,000万トン)。 30万トン級タンカー用原油埠頭(年4,000万トン)を8月から建設する。投資額32億元。容量1,750万キロリットルの石油備蓄タンク(日本の最大は苫小牧の640万キロリットル)もつくる。10万トン級のLNG埠頭も4月から着工する。同1億元。

 また、5万—10万トン級(年12億トン)の石炭積出埠頭も来年中に完成させる。投資額160億元。造船で外資の参加を求める。ここでボイラーや発電設備の生産も計画している。将来は物流区も建設する。このほか8,200万トンの水路を150億元かけて今年中に完成する。

 唐山市の人口は714万人(市街97万人)、面積1万3、472平方キロ。製鉄、セメント、機械、化学、陶磁器、紡績,造紙、電子通信などの産業がある。くり、もも、とうもろこしなどの農産物、鉄鉱石、金、石炭、天然ガスなどの資源にも恵まれている。GDPは2,027億元。一人当たり2.84元。

 市の中心地にある高進技術開発区にはアイシン精機、松下電器産業、日本ガイシ、小池酸素、神戸製鋼、関東精密機械,江東電気など19社が進出している。