2006年05月10日
三井デュポン、高機能樹脂の新品種を開発・上市
商品名「エンティラ」で全世界的に事業を展開
【カテゴリー】:新製品/新技術(経営)
【関連企業・団体】:三井・デュポン・ポリケミカル

 三井・デュポンポリケミカルは10日、新タイプの高機能樹脂の開発に成功したため商品名「エンティラ」で販売活動を開始したと発表した。同社大竹工場内のLDPEプラントで既存のアイオノマーや酸コポリマー等の高機能性樹脂とともに併産していく。

 販売に当たっては、米国側の出資会社であるデュポン社と緊密に連携して全世界的な規模で市場開拓を進めていくことで日本側の親会社の三井化学を含めた3社の間で意見が一致している。日本国内では三井・デュポンポリケミカルが、また日本以外の地域では米・デュポンが同じ商品名「エンティラ=ENTIRA」で販売していく。

 今回同社が開発したのは、優れた帯電防止性を有するとともに高周波シール性や透湿性も併せ持つポリオレフィン系改質剤。同社では、これまでの汎用樹脂と異なり静電気を帯びる心配がない点が最大の強みと説明する。
 
 既存のポリオレフィン等の樹脂は、もともと静電気を帯びる性質を持っているため実際に使用する際には帯電防止剤として界面活性剤やカーボンブラックを混入する必要がある。しかし、その界面活性剤にはブリードアウトによるべたつきや内容物の汚染、さらには時間の経過による帯電防止性能の低下といった問題があり、またカーボンブラックを使用する場合は用途が不透明製品分野に限定されるなどの悩みがあった。

 「エンティラ」はそうしたジレンマや制約にしばられることなく、しかも全国の2次加工メーカーの間に広く普及している高周波シールド装置に容易に適合できる。建材の場合は必要な適度の透湿性を発揮するなどといったメリットもあるため、きわめて広範な分野で新たな市場が開拓していけると同社では期待している。

 用途としては、電子材料や食品および顔料さらにはフィラー等の包装用フィルム、化粧品容器やシャンプーボトル、日用品・文具、住宅用ルーフィング材等が挙げられる。

 三井・デュポンポリケミカルは、かねてからエチレン系の特殊・高機能ポリマーに的を絞った事業を展開中。企業化製品の中には、アイオノマー(商品名・ハイミラン)、酸コポリマー(同・ニュクレル)、熱可塑性エラストマー(同・アルクリン)等のように日本国内で市場をほぼ独占しているものが多い。今回の「エンティラ」が加わることで、オレフィン系高機能ポリマーメーカーとしての事業基盤がさらに高まることになりそう。価格はキログラム1,000円ていど。09年の売上げ目標は最低10億円という。