2006年10月11日
「プラスチックくず」の輸出急増、中国が大量消費
05年の輸出100万トン超、プラ工連がレポート
【カテゴリー】:行政/団体(海外、環境/安全)
【関連企業・団体】:日本プラスチック工業連盟

 産業廃棄物の「プラスチックくず」が、大量に中国市場に流れ込んでいるという統計データがプラスチック工業連盟(プラ工連ニュース288号・10月10日付)から発表された。
 
 ひと口に「プラスチックくず」といっても種類はさまざまで、プラスチック製造工程で発生する新品に近いオフ・グレードから、成形の際、打ち抜いたあとに出るスプール、ランナーと呼ばれる「耳」のようなもの、あるいはリサイクル用に回収済みのPETボトルまで「くず」の種類やかたちは千差万別という。
 
 日本からの「くず」の輸出は2000年までは30万トン以下だったが、その後急増し、2004年84万9,000トン、2005年には105万8,000トンと、100万トンの大台に乗った。06年もすでに7月までに70万トンを超えており、年間120万トンに達することは間違いないと見られている。
 
 輸出価格(平均単価)もキログラム当たり30円前後だったものが、今年は45円台と大幅アップしている。
 
 日本からの輸出を相手国別(05年)にみると、1位は香港で89万9,000トンと断トツ。次いで台湾(6万7,000トン)、中国(5万2,000トン)の順。中国は04年5月に日本からの輸入を禁止(05年秋に解除)したが、香港と中国向けの輸出は全体の92%を占めている。
 
 一方、中国の側から見た「プラスチックくず」輸入データもある。それによると、輸入金額は1995年の1.1億ドルから04年には13.8億ドルと、10倍以上の増加となっている。相手国は香港を除くと米国、日本、台湾がトップ3で、合わせて46%を占めるが、ドイツやカナダなど、世界各国から「買い集め」ていることになる。
 
 これらの「プラスチックくず」は、中国でどのように利用されているのか。わが国業界では「詳しいことは分からないが、まず人海戦術で選別し、バージン・グレードと2級品を混ぜて成形加工に使っていると思う。見かけ上は変わらないし、品質を問わないといった分野に使われているのではないか」といっている。
 
 プラスチック全体の需要が伸びている間はともかく、いったん頭打ちになったような場合に「くず」が新品グレードの市場を食う可能性はあるといえそうだ。