2006年10月16日
米倉・住化社長「石油市場のファンダメンタルズ変わらず」
安倍首相の訪中評価、中国での事業展開拡大へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学
米倉弘昌社長

 住友化学の米倉弘昌社長は16日、記者団と懇談し「原油やナフサ価格が下がっているといっても、ファンダメンタルズは変わらない。冬場の需要期に向かってまた上昇する可能性がある」など、当面の問題について語った。
 
 この中で、安倍首相の中国訪問を「大変喜ばしいことをしていただいた」と評価。「今後は政治的にも心配なくやっていけるので、グループ企業も含めて、より積極的に取り組んでいきたい」と中国での事業展開拡大に意欲を示した。主な発言内容次の通り。
 
(1)石化原料の高騰からポリプロなど、これまでに7回の価格改定を行い、7月には第8次値上げを打ち出した。その後、原油やナフサ価格は下がったが、ファンダメンタルズは変わっていない。冬場の需要期に向かってまた上昇する可能性が大きい。

 世界的に見ても原油の需要は中国など経済成長国の出現によって、2004年は120万バレル、05年100万バレル、06年も100万バレルと毎年増加している。
 
 ナフサもこれから中国で大型石化プラントが稼動に入る。需給バランス上からも、原油価格以上にナフサ価格が上昇すると予想される。石化製品価格についても、引き続きコストに見合った改定が必要になるだろう。

(2)サウジ・ラービグ計画は、今年3月19日に起工して以来、工事が順調に進み、すでにパイプなど資材の搬入が始まっている。現在、当社の社員50人が現地入りしているが、ピーク時には200人に増やす。08年後半の完成に向けて万全の体制で臨みたい。

(3)大日本住友製薬は合併発足して1周年になるが、「融合」という言葉が必要ないほど一体化がうまく進んでいる。主力4品目がいずれも好調なので、存在感ある先進的な製薬会社として発展してほしい。

(4)液晶など電子情報分野では、偏向フィルムなどの価格の値下がりが激しい。販売量の拡大と合理化などにより収益改善に努力しているところだ。

(5)安倍首相の中国訪問によって、首相の持ち味を活かしたかたちで両国間の関係改善が図られたことは大変喜ばしい。これまで頭にこびりついていたものが取れて、政治的にも心配しないでやっていける意義は大きい。

 当社はすでに大連に農薬中間体、上海に偏光フィルム、無錫に電子情報材料の各工場を持ち、さらにトヨタ、ホンダの工場建設に合わせて、新たに2カ所に合成樹脂部材工場を建設中だが、これらを合わせると現在中国内では8都市、17カ所に拠点をもっていることになる。これからもグループ企業を含めて中国での事業展開にさらに積極的に取り組んでいきたい。