2006年10月30日
東レ、世界最高レベルのタンパク質解析技術を開発
横浜市大や京大と連携、新規の癌マーカー発見
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:なし

東レは30日、血液中のタンパク質を世界最高レベルの感度で検出可能なタンパク質解析技術と、京都大学大学院医学研究科の高度な医療・解析技術を融合させることにより、これまで癌との関連性が知られていなかった、血液中に極微量に存在するタンパク質と癌との関連性を明らかにしたと発表した。

さらに、膀胱癌では、癌の早期診断に役立つ「マーカータンパク質」が尿中から検出可能であることを世界に先駆けて発見した。


東レはナノテクノロジー(独自の分離膜技術)と、バイオテクノロジー(タンパク質精製技術、医療機器開発技術等)を駆使し、画期的な血液の前処理ツールであるタンパク質分画デバイスを独自に開発してきた。これにより、非常に困難だった、血液中のタンパク質解析妨害成分を99%以上除去可能にした。 さらに、横浜市立大学と共同で、分画デバイスで処理した血液中の極微量タンパク質を数多く検出するための質量分析技術を開発し、血液の中から約2500種前後のタンパク質を3日程度で検出できるシステムを確立した。

本技術については、タンパク質解析分野で世界的に権威のある雑誌「Proteomics」の2006年9月号(volume6. No.17, pp4845-4844) に掲載された。

■ タンパク質解析技術による癌のマーカータンパク質発見研究

東レは同社が保有するタンパク質解析技術と京都大学の高度な臨床医療研究技術を融合させ、腎細胞癌、食道癌、および膀胱癌を対象に患者の血液中あるいは尿中に存在する癌のマーカータンパク質を探索する研究を2年前から進めてきた。その結果、腎癌や食道癌において、これまでには癌との関係が知られていない70種のタンパク質が、癌特異的に検出されることを見付けた。さらに、膀胱癌患者の尿中に存在する「CXCL1」と呼ばれるタンパク質を用いることにより、膀胱癌の発症を早期の段階から60%以上の確率で判定可能であることを世界で初めて見出した。

この成果については、2006年9月28日の日本癌学会でも発表した。 この解析技術の開発により、これまでは検出することが困難だった、極微量のマーカータンパク質を見出すことが可能となった。

東レは、10年後にはライフサイエンス領域を3000億円規模の事業に拡大させる予定。また、バイオツールをその内の1000億円を占める重要な新規分野として位置づけている。この事業拡大の第一歩として、従来の約100倍高感度なDNAチップを本年4月に製品化し「酵母全遺伝子型DNAチップ」として市場投入した。

今年度はさらに、次製品として「ヒト発現遺伝子検出用チップ」の製品化を進めている。これらの遺伝子検出ツールと並行して、今回のタンパク解析技術により発見した癌のマーカータンパク質を検査・診断するためのタンパク質検出ツールの開発も、京都大学をはじめとする複数の臨床機関との連携で進めるとともに、2年後を目処に、体外診断薬としての製品化を視野に入れた事業拡大を目指す。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1162198730.pdf