| 2007年01月05日 | |
| 年頭所感「日本型成長モデル実現の年」 経済産業大臣 甘利 明 | |
| 【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:なし |
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平成十九年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。 昨年発足した安倍内閣において経済産業大臣を拝命いたしました。私は与党の責任者の立場においてそれまでもライフワークとして経済産業政策に携わってきましたが、就任以来、国内においては、国際的イコールフッティングを確保し、最先端設備の導入を促進するための減価償却制度の抜本的見直しや、中小同族会社の留保金課税の撤廃など成長力強化のための税制改正などに尽力してまいりました。 また、十九年度予算要求における三千億円規模の経済成長戦略要望のとりまとめ、減少が続いてきた中小企業対策予算の反転増加の実現を始めとする地域・中小企業の活性化策の推進、製品安全対策の飛躍的な強化等様々な問題に積極的に取り組みました。 対外的にはAPEC閣僚会議や五ヵ国エネルギー大臣会合などに出席するとともに、「東アジアEPA」の構築等について各国の代表と会談を重ねるなど、アジア各国との協力関係構築を始め戦略的な通商政策の展開に邁進してまいりました。 本年も、内外に諸課題が山積しておりますが、経済全般と通商政策を担当する閣僚として、国民の皆様の声に耳を傾けながら、長年に亘り経済産業分野で培ってきた私の経験と知識を総動員して、引き続き全力で取り組んでまいります。 今、日本経済は、総じて見れば、設備投資、外需主導の息の長い経済回復を続けています。しかしながら、企業規模別、地域別に見ると回復の動きにはばらつきが見られ、景気回復を多くの国民が実感できずにいます。日本経済を支える企業収益が増加する中で、本年はこのような企業部門の好調を家計部門における力強い消費に波及させることにより、消費と企業部門がバランス良く主導する景気回復を実現することが必要です。 息の長い安定した経済成長のためには、雇用者の報酬の増加を通じて消費が増え、これが企業の収益の増加につながる「家計と企業の所得の好循環」を生み出すことが重要であり、この点は是非日本の産業界のリーダー・経営者の方々にも思いをはせていただきたいと考えます。 さらに中長期的には人口の減少、巨額の財政赤字、国際競争の激化など、構造的な対応が迫られる課題を数多く抱えております。こうした状況において、中長期的に安定した社会保障などの様々な政策の原資となる「富」を生み出すための経済産業政策こそ、まさに政策の中の政策であると考えています。そして、財政再建の途上にあり、財政出動における制約の大きい今こそ、「アイデア官庁」としての経済産業省の出番です。 人口減少等の構造的課題を克服し、民主導での力強い成長を実現する新たな日本型成長モデルを実現するため、昨年七月にとりまとめられた「経済成長戦略大綱」の施策を一層充実・強化して実行するとともに、新しい政策の検討を進めます。 まず、今こそ新しい知識や技術を生み出し市場化していくイノベーションを促進するための政策を重点的に実施し、大幅な生産性向上を目指します。そのため、知的財産、人材、ITなどの経営資源の活用を通じた生産性向上や、ベンチャー企業の育成、分野を異にする他社との協力を促進します。また、サービス産業のイノベーション促進と生産性改革のため、サービス産業生産性協議会やサービス研究センターの創設などサービス政策の強化を図ります。 さらに、ITの活用については、IT活用の先導的事例の普及、企業・業種を超えた情報共有を容易にするための新たな電子商取引の基盤整備・電子タグの普及促進などに取り組みます。また、「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」等に基づいて、新世代自動車向け電池、知能ロボット、次世代航空機などの研究開発や、がん対策、健康データの標準化などの医療・健康産業の発展のための基盤整備を推進するとともに、産学官の連携を促進します。併せて、昨年新たに設定した「国際標準化戦略目標」の達成に向けて官民一体で取り組み、研究成果を速やかに市場につなげる仕組みを強化してまいります。 知的財産の分野においては、「イノベーション促進のための特許審査改革加速プラン」に基づき、特許審査の迅速化・効率化を進めるとともに、「世界特許」の実現に向けた国際的な知財制度の調和・審査協力や模倣品対策など、グローバルな課題にも積極的に取り組んでまいります。加えて、地域・中小企業の知財活用に対する支援も強化してまいります。 また、少子高齢化、経済のグローバル化が進展する中で、我が国経済の成長力・競争力を強化する税制改革の推進や、企業の組織再編を柔軟かつ迅速に実現するための企業結合ガイドラインの改訂など企業関連制度の整備に取り組みます。 さらに、本年夏頃までに分野別アクションプランを含む「コンテンツグローバル戦略」を策定し、マルチコンテンツを取り扱うフェスティバル(国際コンテンツカーニバル(仮称))の創設やコンテンツポータルサイトの活用等による日本からの情報発信等を実施してまいります。また、コンテンツ、ファッション、デザイン等「感性・創造性」に由来するソフト面でのイノベーションを促進し、その成果を世界に発信すべく、「東京発 日本ファッション・ウィーク」を含めた「感性価値創造イニシアティブ(仮称)」を推進してまいります。 地域は、それぞれが高い潜在力を秘めています。地域がその活力を最大限に発揮することが、地方にとっても、また我が国全体で見ても経済活性化の観点から不可欠です。こうした地域の力を発現するには、地域が自らの強みを認識し、公共事業に依存するのではなく、自立的・持続的な成長を可能とする経済構造を民間主導で実現していくことが大切です。 このため、地域の主体的な取組を全面的に支援します。例えば、地域の魅力を踏まえた企業立地を促進するために、規制緩和や手続の迅速化、事業活動の中心となる人材の育成、地域における産学官連携による高度化技術開発への支援を展開します。 それに加えて、地域にある産地の技術、農林水産品、観光資源などの優れた資源を活用した中小企業による創意工夫あふれる新商品・新サービスの開発や販売、地域の観光・集客サービスの競争力の向上を支援してまいります。これらの施策を講ずるに当たっては、関係省庁とも十分連携し、予算、税制、政府系金融機関による融資などを総動員します。 また、格差の拡大・固定化が懸念される中、勝ち組と負け組が固定化せず、チャンスにあふれ、誰でも再チャレンジが可能な社会を実現するため、「人」の再チャレンジと「事業」の再チャレンジの両方を支援します。 関係省庁と連携し、一度社会に出た者が、人生の様々な段階で専門的教育を受けられるよう、ものづくり専門職大学院の設置や、高専等を活用した技術者の育成などを通じた、人生の「複線化」に取り組みます。また、事業再生・再起業や新事業展開に取り組む中小企業に対してタイミング良く安定した資金供給を行う環境を整備するために、在庫等の流動資産を活用した資金調達を促進するとともに、再生局面にある中小企業者や再起業を行う方々への円滑な資金調達を可能とする融資・信用保証制度を整備します。 さらに、政策金融改革については、改革の結果誕生する新しい金融機関が、中小企業者にとって真に頼れるものとなるように取り組んでまいります。 対外政策については、経済協力も戦略的に活用してアジア各国の経済発展を支援しながら、それらの国々と共に歩みつつ我が国の力強い成長を実現すべく、経済連携協定の推進に取り組みます。本年は特に、我が国と密接な経済関係にある東アジア諸国、資源産出国等との交渉を強化してまいります。 さらに、アセアン、日中韓に止まらず、急成長する大国インドや、先進民主主義国家としての価値観を共有する豪州及びニュージーランドの十六カ国を対象とした「東アジアEPA」の構築に向けた取組や、東アジア各国で協力して新たな研究機関を創設し、政策提言などを行う国際的な知的インフラを構築する「東アジア版OECD構想」を推進します。 また、日本の魅力を高め、開かれた日本、開かれたアジアを実現するため、アジアの優秀な留学生に対し、日本への留学、研修から日本企業での就職まで一貫して支援する「アジア人財資金」構想の実現や日本への直接投資の促進などに向けて、積極的に取り組んでまいります。 貿易立国として多角的貿易体制の維持に貢献するため、WTOドーハ・ラウンド交渉に全力で取り組みます。我が国が主要国の一員としてイニシアティブを発揮して交渉を進め、本年中の妥結を目指します。併せて、途上国が貿易自由化の利益を十分に享受できるよう、一村一品運動などの取組を進めます。 さらに、天然資源の少ない我が国としては、エネルギー・環境政策に積極的に取り組むことが不可欠です。エネルギーを巡る国際情勢は、昨今大きく変化しております。中国やインドを始めとする世界的なエネルギー需要の増大やOPEC加盟各国の生産余力の低下などにより、エネルギー需給の逼迫が懸念されています。 こうした中で、経済産業省としては、省エネルギー・新エネルギーの推進、バイオエタノールの導入促進を含む運輸エネルギーの次世代化、石油自主開発の推進等による資源の安定供給の確保、安全の確保を大前提とした核燃料サイクルを含む原子力発電の推進など、総合的なエネルギー政策に取り組んでまいります。 また、世界最高水準にある我が国の環境・エネルギー技術を活用して中国を始めとするアジアへの省エネ・環境対策協力を推進し、世界全体でのエネルギー問題の解決に貢献する考えです。 地球環境問題もますます重要な課題となってきております。地球環境問題への的確な対応を図るため、「京都議定書目標達成計画」に沿った施策を総合的に講じ、目標達成に向けて最大限努力いたします。 ガス瞬間湯沸器の事故等、製品安全に関する問題に対しては、昨年成立した改正消費生活用製品安全法に基づく報告の確実な履行、公表・周知の実施等を通じて「製品安全文化」の定着に努め、製品安全の確保に全力を尽くしてまいります。 また、我が国及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威である北朝鮮に対して、経済制裁を厳格に実施し、誠実な対応を促します。 本年においても、経済成長を一層持続的なものとするために、将来を見据える視点と今まで以上のスピード感をもって、これらの課題に取り組んでまいりたいと考えております。皆様のより一層の御理解と御支援を賜りますよう何卒お願い申し上げます。 最後になりましたが、皆様の御多幸と御健康を心から祈念いたしまして、私の新年のごあいさつとさせていただきます。 平成十九年 元旦 |