2001年07月23日
産業省の本庄化学課長、PSダンピング問題「中国の態度厳しい」
対外貿易経済合作部は「書面で回答」約束
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東洋スチレン、日本ポリスチレン、経済産業省

 中国がわが国ポリスチレン各社に対してアンチダンピング調査を開始した問題について話し合うため訪中していた経済産業省の本庄孝志化学課長は20日帰国、23日記者団に対して「中国側の態度は厳しいという印象を受けた。近く対外貿易経済合作部から書面で回答がくることになっているが、今は何とも言えない」など要旨次の通り印象や今後の見通しなどを語った。
 
(1)中国では対外貿易経済合作部と国家経済貿易委員会を訪ね日本政府の考え方を伝えた。業界からも東洋スチレン、日本ポリスチレン、A&Mスチレン3社の代表が同行し、それぞれ意見を述べた。

(2)日本政府としては、中国はWTOへの加盟を年末に控えている。日本はこれまで一貫して加盟をサポートしてきた。今回の問題についてもWTOルールに整合した判断がとられるかどうかに重大な関心をもっていると説明した。

(3)業界も日本から輸出しているポリスチレンは加工貿易用がほとんどで、中国内の市場に影響を与えていないこと、輸入品の中には価格の安い再生品が相当量含まれていること、日本からの輸出は過去5年間で半減し、中国全体の輸入量に占めるウエートも小さくなっていること、などを数字をあげて説明した。

(4)日本から中国への輸出は約15万トンとなっているがこのうち約5万トンは再生品、また残り10万トンは現地進出している日本の弱電メーカー間向けでほとんどが保税扱いとなっている。一般貿易用として国内市場に流れているのは1万トン強とみられる。
 一方中国の市場は生産が113万トン、輸出133万トンで合計250万トンと推定される。
 輸入国をみても中国は台湾から43万トン、韓国から23万トン、タイと香港からそれぞれ17万トン、日本は5番目に過ぎない。こうした点からも日本品が与えている影響は大きいとは言えないと思う。

(5)今回ポリスチレンが調査の対象になった理由は明らかではない。加工貿易用として保税扱いで輸入しているものにダンピング関税をかけるようなことがあるのかどうかは注目していい。仮決定が出るのは来年2月から8月ごろと思う。
 対外貿易合作部からはなるべく早く書面で回答すると言っているので、日本政府は強い関心をもって見守りたい。