| 2007年01月15日 |
| 「07年の中国経済展望」 元切り上げが焦点 |
| 固定資産投資は不動産から消費、輸出分野へ |
| 【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:なし |
外貨準備高が1兆ドルを越し、自動車販売台数が日本を追い越し世界第2位となって勢いづく中国。今後も年率9%以上の成長が見込まれているが、経済全体は自動車、鉄鋼、電力などの設備投資の過剰、流動性の過剰などの懸念があり、経済運営のカジ取りが注目されている。 こうした中、大手証券会社のシニアエコノミスト(中国人)から、中国経済のことしの焦点を聞いた。氏は同国経済が基本的には中央政府の施策により、安定成長が続くとみている。その上で資産価格バブル崩壊によるハードランディングの可能性、過剰流動性拡大と人件費上昇によるインフレ圧力の顕在化、急速な人民元切り上げによる輸出減少と雇用の悪化を懸念材料としてあげた。 また、単純労働力の供給不足(地域限定型)と貿易黒字拡大による過剰流動性の増大に注目していると大要、以下のように語った。 概要として、不動産主導型から脱出しつつある固定資産投資は、地域間と業種間の経済構造を改善し、都市部所得の増加は高額消費財を消費の安定的な増加を持続させている。輸出の増加は貿易黒字拡大につながり、投資と消費、貿易の間で均衡のとれた成長に変化している。 背景としては、強力な引き締め政策により投資が急減速したが、昨年11月以降持ち直した。生産は工業在庫が高止まりだが、工業生産の減速は一服した。消費は住宅と自動車が堅調。FDIが機能して輸出拡大と輸入減速をもたらし、貿易黒字を拡大したーとしている。 人民元の切り上げ問題については、一つは外貨準備高が1兆ドルを超えたことに関連している。1兆ドルは1%で100億ドル(約800億元)、米国のいうように10%切り上げれば1,000億ドル(約8,000億元)にもなる。 外貨準備高の拡大は中国が輸出向けを中心とする投資主導型経済を第11次5ヵ年計画で、消費、貿易中心に切り替えたことからすれば、一時的な現象であり、中国内需の高まりとともにあるていど解消していく。 問題は元の切り上げで、輸出が減少すればその幅次第で雇用問題を引き起こす。すでに対ドルでいえば、4%ほどまで切り上げ(対円は約10%)られる見通しだ。やはりこれ以上の急激な切り上げは避けるべきだろう。 中国の設備投資は政府からみた鉄鋼、セメント、自動車、電力などの業種は過剰だったが、昨年末の状況では過剰感はがなかった。今後は政府の予測と対策によるところが大きいが、輸出とも関係してくる。 流動性については「カネ余り」は当面、避けられそうにない。不動産、住宅、株式などから、車などの高額品、衣料などの生活用品に消費傾向が変わることが期待されている。 |