2007年01月22日
中国政府、労働契約法を4月にも改訂か
書面契約義務、競業への転職制限、人員整理など
【カテゴリー】:海外
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 国営企業の民営化、貧困層・弱者の救済、人民元の切り上げなどで労働環境の改善対策を迫られている中国政府は、昨年12月25日に全人代で労働契約法を改訂する第2次草案(第1次は06年3月の労働基準法)を作成したが、この具体案が今年4月にも実施されるのではないかとの見方がでている。

 改訂のポイントは約10項目。まず、労働法の適用範囲を半官半民の公的な招聘任用制度労働者についても対象にする。社内規則(有給休暇など)が損害を及ぼした場合、企業が損害賠償責任を負う。

 採用から1カ月をこえても書面による労働契約を締結しない場合、企業は給与の2倍を支払わねばならない。契約期間(職種によって異なる)は1年以内の場合、試用期間1カ月以内。1—3年の場合、同2カ月以内、3年以上は同6カ月以内。

 連続勤務期間が10年以上、または連続3回目の契約更新の場合などは、無期限契約を締結する。違反者は2倍の賠償金を支払わねばならない。

 研修と退職制限について、1カ月以上生産から離れて専門技術研修を受けた者とは退職禁止期間を約定できる。中途退職した場合は違約金を企業に支払う一方で、約定期間内の賃金待遇は高めにしなければならない。

 退職後の競業(同業)制限退職者は高級管理職、高級技術員、その他の商業秘密を熟知する者に限られ、競業制限期間も2年を越えてはならない。秘守義務を課す場合、保証金を支払う。

 人員整理について20人以上、あるいは総人数の10%以上を占める人員削減計画は30日前に労働組合または全従業員に状況を説明し、意見を聴取し、その上で人員削減計画を労働部門に報告した後、可能となる。

 集団契約に違反し、労働者の権利を侵害した場合、労働組合は法律にもとづき企業責任を追及し、法に従って仲裁を申請、あるいは起訴することができる。人材派遣会社は派遣労働者との間で2年以上の固定期限労働契約を締結しなければならない。(以上は筧武雄・チャイナ・インフォメーション21代表の講演からの抜粋)