2007年03月22日
信越化学・金川社長「セルロース工場の事故陳謝」
【カテゴリー】:経営(環境/安全)
【関連企業・団体】:なし
陳謝する金川社長(右)

 20日、直江津工場でセルロース製造部門が爆発・火災し、17人がけがをする事故を起こした信越化学工業は22日午後記者会見し、事故の概要や今後の対応などについて明らかにした。
 
 同事故は20日午後4時25分、新潟県上越市にある同社直江津工場のメチルセルロース製造部門(MC-第2工場)で発生し、周辺にいた作業員17人(重体2人、重傷4人を含む)がやけどなどを負った。作業員が交代して間もなくだったという。鎮火したのは同日午後11時11分だった。
 
 金川千尋社長は、気落ちした表情で「当社はこれまで、安全を最優先してきたのに、このような事故を起こしてしまい、誠に申し訳ない。負傷された人の治療や、近隣の皆さんへの対応には最善をつくしたい」と陳謝するとともに、報道陣に向かって頭を下げた。同社長は責任をとって今月から半年間、役員報酬の50%を返上する。
 
 メチルセルロースは、建材や医薬添加材としての用途を持つが、爆発しやすいため高圧ガス取締法では危険物に指定されている。設備能力は年産2万2,000トン(事故設備は6,300トン能力)。需要は堅調で、同設備はこのところフルに近い操業状態が続いていた。

 生産はわが国では同社1社しか行っていないため、さっそく需給面への影響が懸念されている。同社は、米・ダウケミカルに応援出荷を要請中で「ユーザーの皆さんに迷惑をかけないようにしていきたい」と言っている。
 
 事故の発生原因は現在、経産省、厚生労働省、新潟県、警察、消防の各当局で現場検証中。工場は全設備が操業を停止中。
 
 今回の事故の損害額などは未定。ただ、メチルセルロースの事業規模そのものは年間売上高約200-250億円で、同社全体から見ればポジションはそう大きくはなく、経営収支面への影響は軽微と見てよさそうだ。


ニュースリリース参照
○直江津工場の爆発事故について
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1174537163.tif

○事故概要
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1174556726.tif