2007年04月23日
タイのPTTもエチレン1号機の稼動を再開
サムスン・トタルは定修と増強で運休に
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 大手商社が入手した情報によると、定修と増炉工事のためエチレン第1号プラントを運休していたタイのPTTは先週半ばに工事の全てを完了して試運転に入った模様。
 
 今回の工事は、既存の年産38万5,000トン能力のエチレンプラントを定期修理するとともに分解炉の増強によって年13万トンの増産体制を整えるためのものであった。これによって第1号機の生産能力は51万5,000トンに拡大、それに伴いPTTのエチレン総生産能力は3基合計で127万5,000トンになった。大手商社の調べでは、タイ全体の設備能力は242万5,000トンとなる。
 今回の増強は、従来の生産能力ではコンビナート内の誘導品企業の需要を賄いきれなくなってきたことに対処してのもの。したがって、増産されるエチレンが海外に流出することはないと見られている。
 
 アジア地域における最近のエチレンの増産体制の整備は、韓国・YNCC(35万トン)と同LG Daesan(26万トン)に続いてこれが3件目。続いては、韓国・サムスン・トタルが先週半ばから20万トンの能力増の工事に入っている。既存の65万トンプラントの定修に合わせて増強工事も進めているところで、6月上旬に完工の予定。
 この間、同社のエチレン生産は50日近くにわたって停止されることになる。また同じ韓国のYNCCも5月中旬からおよそ1ヵ月間、同56万5,000トン能力の第2エチレンプラントを定修のため運休する。一方では、台湾FPCが120万トン能力のエチレン第3号機を5月中旬から立ち上げると見られている。しかしFPCの今回の増設は深刻化していたエチレン不足の悩みを解消するためのものであったので、大手商社の間にはアジア地域全体のエチレンやプロピレンの当面の需給バランスが大きく緩むことにはならないと見る向きが多い。