2007年05月13日
アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 サウジアラムコとダウは12日、ラスタヌラ総合計画という名称の世界最大級の化学品・合成樹脂のコンプレックスの建設・運営についての詳細覚書を締結したと発表した。

 昨年7月、アラムコが本計画のパートナー候補にダウを選定し、独占的に交渉すると発表し、その後交渉を続けていた。

 既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=19294

 両社は今後、サウジの東海岸のアルジュベイル南東のラスタヌラ(地図添付)にコンプレックスを建設・運営する合弁会社の設立について最終交渉を行う。コンプレックスはアラムコ所有のラスタヌラ製油所とジュアイマ・ガス処理工場(いずれも世界最大)から原料の供給を受ける。

 合弁会社は両社折半だが、株式の30%を一般公開する。

 合弁会社は、広範囲の樹脂と化学品を製造する。
エチレン、プロピレン、芳香族の基礎原料のほか、当初にはワールドクラスのPE、EO/EG、PO/PG、クロルアルカリ、VCM、ポリウレタン、エポキシレジン、PC、アミン、グリコールエーテルなどを生産する。

 能力は明らかにされていないが、昨年7月の時点ではエチレン能力は120万トンと噂されていた。

 建設費については発表されていないが、業界筋では当初100億ドルと想定された建設費が、昨年7月には150億ドルにアップし、現在では220億ドル(2兆6千億円)に達すると見ている。

 中東の建設費は各国政府が石油価格高騰で増えた収入でインフラ整備や新規の大事業計画を進めた結果、大幅に上昇している。

 アラムコと住友化学のラービグ計画も最初は43億ドルの予定であったが、建設費が高騰し(電力・工業用水など範囲拡大もあって)、85億ドルに上昇した。

本年2月にはカタール石油 と ExxonMobil がGTLプラントの建設を取り止めることを決めた。プロセスガスを製品化するための設備の建設費が50億ドルから180億ドルにまで上昇したのが理由。このほか、多数の計画が再検討されている。