| 2007年05月18日 |
| 深せん市がアウトソーシングサービス発展に重点 |
| 東京でハイエンドサービス業の奨励政策を説明 |
| 【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:なし |
人材の集積度が高く、中国最大のIT都市である広東省の深せん市は17日、東京で同市のアウトソーシングサービス業の発展状況と今後重点を置く、ハイエンドサービス業の奨励政策について説明会を開いた。 深せん市貿易工業局、市駐日経済貿易代表事務所が主催、国際貿易促進協会が後援、王玲・貿易工業局副局長、曽国中・市ソフトウェアパーク主任らが講演した。また、東洋エンジリングなど現地進出企業が体験談を語った。 同市は1980年に経済特区に指定され、改革開放の窓口、モデル地区として発展した。3万人だった人口が17年後に50万人、その後10年で1,100万人と急増した。中国最大の伸びである。 80〜06年でGDPが年率30%も伸び、市民一人当たりのGDPが06年に8,850ドルと中国トップ。06年の輸出入総額が2,374億ドル、うち輸出額は14年連続でトップを占めている。工業生産は1,500億ドルで全国第2位。 この間、コンピュータ、ソフトウエア、電子通信などの電子情報産業や家電・デジタル製品、バイオテクノロジー、新材料、新エネルギー、化合物半導体などのハイテク産業(06年の生産額812億ドル)が発達した。 IT企業では中国大手10社のうち、6社が深せんで活躍している。ITの生産額(約3,000社、15万人が働く)は06年で753億ドル、北京に次いで第2位。 市は隣接する広州、仏山両市の自動車産業基地に対して、電子・光産業基地に重点を置き、独自の発展を目指すことにしている。06年の中国都市生活質量ランキングで市はトップ。日系企業は355社。来年4月には日本語学校も開設される。 市は今後5年間にわたって、サービス業のシステム向上や機能のレベルアップが必要とし、発展の措置をとる。すでにサービス内部のシステムが充実し、現代金融、現代物流、文化産業などが発展している。 サービス業の生産額は01年の1,236億元から06年には2,655億元にアップ、GDPに占める割合が、46.7%になっている。市ではGDPの一人平均が6,000〜8,000ドルになると、サービス業が経済成長の主要な原動力となる時期との判断で、07年1月に発展の詳細にわたる構想をまとめたとしている。 目標は自主イノベーションと循環経済の実施を通して、地域の金融の中心、現代物流の中枢都市、イノベーション都市、アジア太平洋地域の商務活動の拠点を目指すこと。このためハイテク産業の科学技術研究奨励、知的所有権の保護、ソフトウエア、移動通信などのイノベーションの強化をはかる。 また、国内外への本部設立の要請。物流・資金・流通などのビジネスセンター設置。深せん−香港の合作推進(深港新圏の設置など)を行うことにしている。 対象は金融イノベーション、現代物流、法律専門サービス、アウトソーシングサービス、オリジナル設計、ブランド力の高いエキジビション、ハイエンドな観光業(建設も含む)などである。対外機構との提携では資金援助を行い、自社オフィスの建設では1平方メートル当たり500元を補助する。 市のアウトソーシングサービス業はハイテク業とともに基幹産業であり、今後、国際的なアウトソーシングサービス業の拡大を目指す。06年、市のアウトソーシング業の輸出額は全国の6分の1に当たる1億6,000万ドルで、企業数は60社を超えた。アウトソーシング企業は深せんソフトウェアパークに30社が集中している。ISSC(IBM科技公司)、瑞遠、福瑞博徳、大展科技(Freeboders),鵬開公司(NEC系)などである。 海外からの企業が3分の1を占め情報技術アウトソーシング(ITO)は金融、移動通信、インターネット応用、オフィス業務、プロジェクトインテグレーション、技術支援などに広がっている。BPO企業も多い。 06年10月に商務部、科技部、信息(通信)産業部から深せんは大連、上海など他の4都市とともに「アウトソーシングサービス基地都市」に選ばれた。同パークは400社の企業と4万人の従業員を抱えている。 また、人材育成にも力を入れている。深せん大など地元の大学卒業生は4万人ほど。しかし、市では全国211の大学、本校の8大学の卒業生が競って市の企業に入社を希望しているため、広く人材を採用でき、これをきょうえく訓練するとしている。 市に進出するアウトソーシングサービス企業は商務、科技、財務などの認定を受けた後、奨励政策、優遇措置を受けることができる。その条件はオフショアアウトソーシングがメイン業務であること、業務収益が70%を下回らず、100万ドル以上であること、専門学校卒以上の従業員が70%以上であることなど。 資金援助の内容は、アウトソーシングのオフショア業務で発生した収益から生まれた地方財政への納付部分に対し、納付金額の80%を技術開発費および建設資金として企業に返還する。企業の定期、就業資質、語学、コンピュータ能力の4トレーニングについて85%以内を援助する。新入社員研修では50%までを援助する。また、海外展示会への参加やPR活動を援助する。知的所有権を有する製品の研究を奨励する。 |