2007年06月14日
デグサと片山化学、バラスト水処理事業で提携
【カテゴリー】:新製品/新技術(海外)
【関連企業・団体】:デグサ

 デグサジャパンは14日、デグサと片山化学工業研究所(本社:大阪市東淀川区 片山博彦社長)の間でバラスト水処理に関する契約を締結したと発表した。今後、両社はバラスト水処理市場獲得に向けて7月から本格的に事業を展開する。

 アクティブオキシジェンの分野で世界有数のメーカーであるデグサは、バラスト水中に混入した水生生物を死滅させるバラスト水処理剤「PERACLEAN Ocean」を開発し、2006年3月にIMOの基本承認登録を受けた。本剤は薬剤としてIMOに認められた唯一の製品。

 片山化学は創業100周年を迎える水処理の老舗で、デグサの「PERACLEAN Ocean」に関連する特許を保有しており、世界市場でデグサへ独占的にライセンスする一方、日本国内において本剤を独占的に取り扱い、処理装置と組み合わすシステム化を展開していく。

 世界のバラスト水処理市場は、1隻あたり約1億円にのぼる。また、IMO条約による基準の適用が2009年に始まり、全ての船舶に適用される2017年には最大になると予測されている。今後、両社は1,200億円(日本国内36億円)の市場獲得を目指す。

【「PERACLEAN Ocean」の特徴】
 過酢酸と過酸化水素を成分とする「PERACLEAN Ocean」は、バラスト水中の水生生物を処理後、速やかに分解するため有害物を残さない。また、本剤の船舶への適用はシンプルな装置で管理できるため、設備面でのコストが低減できる。

 さらに、キャビテーションやフィルター等の装置による物理的処理と本剤の化学的処理とを組み合わせたシステム化により、大型プランクトンからバクテリアまでを効率的かつ経済的に処理することが可能となる。

 ■バラスト水排出の規制
 「バラスト水」とは、船舶が荷降ろし後に本船の安定を保つために積み込む海水のことをいい、世界で年間約100億トンが国際船舶の航行によって移動されている。現在、動物性・植物性プランクトンやバクテリア等が本来の生息地でない寄港地の沿岸域で増殖し、さまざまな影響を与えることによる「バラスト水」を介した水生生物の移動が社会問題となっている。これを受けて、2004年2月に国際海事機構(IMO)で「船舶のバラスト水及び堆積物の排出規制及び管理に関する条約」が採択された。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1181791198.doc