2007年07月10日
香港が説明会「中国投資支援で有利な役割」
投資推進局、珠江デルタの“窓口”協調
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 香港特別行政区政府投資推進局(インベスト香港)は駐東京香港経済貿易代表部、香港貿易発展局と東京で香港の持つ、中国ビジネス、珠江デルタ投資の窓口としての有利性を強調する説明会を開き、香港システムの活用を呼びかけた。

 香港への海外からの直接投資をみると03年の136億ドルに対し、04年340億ドル、05年336億ドル(世界第6位)、06年429億ドル、07年第1四半期154億ドルと大幅に増えている。シンガポール、韓国、インドが3大投資国。香港の人口は約700万人。

 また、インベスト香港の誘致による進出企業数も04年205社(46.58億香港ドル)、05年232社(88.95億香港ドル)、06年246社(102.43億香港ドル)と増勢を示している。

 これはインベスト香港によると、
 ・税制が簡素で低率であること
 ・世界でもっとも自由な市場であること
 ・ルー・オブ・ロー(法の支配)が確立していること
 ・多数の専門家に恵まれていること
 ・ニュースと情報が自由に流れていること
 などが理由としている。

 マイク・ローズ・インベスト香港局長は「日本は最も活発な香港への投資国の一つ。730社(05年末の累計投資額169億ドル)以上が地域統括本部、事務所などを設立して香港システムを活用している」と語る。

(1)ビジネス組織の設立、人材・事務所のコストなど投資制度についての最新情報
(2)税制、輸出入に関する規制雇用関連法規、出入国管理に関する規定、ビジネスへの財政支援やサポートサービスに関する政府からの情報
(3)香港での貿易および産業の関連組織や政府の担当部署への訪問の手配
(4)新規参入投資家に対する居住前、後の継続的なサポートなどをインベストメント香港が提供する。

 中国進出を目指す企業へのコンサルテング会社、M&Cの水野真澄社長(丸紅出身)は、広東省と香港のビジネスモデルが変わり、その具体例として以下のような項目を挙げている。

・05年以降、加工貿易制限(優遇措置廃止)の動きが顕著になっている。加工貿易禁止品目が拡大、低付加価値、高エネルギー消費につながる加工を制限している。また、貿易黒字削減のための加工貿易規制や珠江デルタ式来料加工に対する「日本におけるタックスヘブン対策税制の適用」、「中国本土における恒久的施設(P/E)認定」などの税務上の制限も出ている。

 香港と中国本土の自由貿易協定であるCEPEにより、外資企業を含む香港企業に優遇措置が与えられた。香港産品を本土に販売する場合の関税免除と香港企業がサービス型現地法人を作る場合の規制が緩和されている。

・07年より香港と中国本土の租税協定が改定され、特に源泉徴収などの優遇が明確になった。配当10%(ただし25%以上の持ち分を所有している場合は5%),利子7%、使用料7%。中国本土では企業所得税法改定により配当に対して20%の源泉徴収が実施される可能性が高い。これにより香港経由のメリットが高くなる。

 投資モデルを考える場合、日本側の外税控除、タックスヘブン対策税制などの適用について総合的に考える必要がある。香港経由の間接投資が一概に有利とは言い切れないが、タックススキームを考えれば香港活用のメリットはある。

インベストメント香港(TEL:03−3556−8961、FAX:03−3556−8960)