2007年07月10日
大洋塩ビ、PVCの輸出価格をさらに引き上げる構え
原料高に対応、中国向けはCFR1,000ドル台を目標
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:大洋塩ビ

 塩ビポリマー最大手の大洋塩ビは、同樹脂の輸出価格を8月も引き続き底上げする考えを強めている。
 最大の仕向け国である中国向けについてはCFRトン当たり1,000ドル台に引き上げたい意向。原料の一つのエチレンの価格がナフサの国際スポット価格の続騰によって引き続き上昇するのが避けられなくなってきていることによる。
 
 同社をはじめわが国のPVCメーカーは、原料高に対処して今年1月以降7ヵ月連続して同樹脂の輸出価格を引き上げてきた。中国向けを例にとると、昨年12月時点で同780〜790ドルであったのをその後の7ヶ月で合計200ドル引き上げて7月分は同980〜990ドルとすることで同国の需要家各社の同意を得るのに成功している。
 
 このように長期にわたって輸出価格の是正が実現できるようになったのは、同樹脂の需要が中国にとどまらずインドや東欧、中近東といった発展途上の各地域で特に大きく伸び始めてきたことによって世界全体の需給バランスが急速に引き締まってきたためと言える。
 現に、わが国のPVC各社の輸出先はこの半年で急速に多様化しており、それに伴い中国に対する依存度が相対的に低下している。このため、同国の製品輸出関税還付率の縮小が足を引っ張って仮に中国からの引き合いが減少するような事態が生じても総輸出数量が前年割れに転じるようなことにはならないと見られる。また価格についても、原料高の転嫁は多くの市場で容認されることになると予想する関係者が多い。