| 2007年07月13日 |
| 住友化学、新規ナノ素材「カーボンナノスフィア」で米社と提携 |
| 高い導電性・製造工程がシンプル、早期事業化目指す |
| 【カテゴリー】:経営(新製品/新技術) 【関連企業・団体】:住友化学 |
住友化学は13日、米国ヘッドウォーターズ社(HW)と、新規炭素ナノ素材「カーボンナノスフィア」の研究開発・事業化を共同で進めていくことで合意したと発表した。 「カーボンナノスフィア」(carbon nanospheres=CNS)は、球状の新しいタイプの炭素ナノ素材で、HW社が開発した同製品は、典型的なサイズが外径100ナノメートル以下で中空構造になっている。このため「カーボンナノチューブ」(CNT)や「高性能カーボンブラック」(HPCB)など他の炭素ナノ素材と比べて、以下のような多くの優れた特長を有している。 ■「カーボンナノスフィア」の特徴 (1)高い導電性 CNS はグラファイト化(注1)された独特の球状多層構造を持ち、高い導電性を有する。このため、プラスチックの帯電防止用フィラー(注2)などへの応用が可能。また導電性が高く、従来のHPCBに比べて添加量が少なくて済むため、プラスチック本来の強度を生かすことができる。 (2)強度を損なわずに表面修飾が可能 CNTと異なり、基本構造を崩さずに、強度や導電性を損なうことなく表面の修飾が可能。これにより、各種のプラスチックに対する親和性を増すことができ、均一な組成のCNS含有プラスチックを容易に得ることができる。 (3)製造プロセスがシンプル 製造プロセスが複雑なCNTに比べ、シンプルなプロセスで効率的に製造することが可能。 住友化学は、今後HW社と協力して、CNSの特徴を生かした用途開発研究を進め、HW社と共同で早期に事業化を実現していく方針である。 【ヘッドウオーターズ社の概要】 ・社名 Headwaters Incorporated ・本社所在地 Salt Lake City ・社長 Kirk A. Benson ・資本金 5.0億ドル(2006 年9 月) ・設立年月 1986 年 ・売上高 11.2 億ドル(2006 年) ・従業員数 約4300 人 ・事業内容 エネルギー、建設関連の製品、技術、サービスの提供 【用語解説】 (注1)グラファイト(=黒鉛)/グラファイト化 炭素の同素体の1つ。天然に産出するが、無定形炭素を3000℃前後で熱処理することによっても得られる。六角形に並んだ炭素原子が巨大な網状に積み重なった層構造(=グラファイトシート)を有する。 無定形炭素からグラファイトの構造に変化させることをグラファイト化と呼び、その度合いによって異なる物性を示す。 (注2)帯電防止用フィラー プラスチックは高い電気抵抗を有するため、表面に帯電して種々トラブルを起こすことがある。ある程度の導電性を与え帯電を防止するために、高い導電性を有するフィラー(=添加材)をプラスチックに練り込む方法がある。フィラー量が多いと、プラスチックの他の性質にも影響を与える。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1184290478.pdf |