| 2007年07月13日 |
| PVCの価格、世界各地で引き続き強含みで推移 |
| 需給タイトの欧州では1,200ドル前後まで上昇 |
| 【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品、市況) 【関連企業・団体】:なし |
わが国のPVC(塩ビ樹脂)メーカー筋の調べによると、同樹脂の価格は世界各地で7月に入っても引き続き強含みで推移している。欧州を中心に需給バランスが世界全体でタイト気味となってきたことによるもの。しかも、どの地域でもしばらくは同樹脂の新増設プラントが立ち上がる見通しにない。このため、わが国のPVCメーカーや大手商社の間では、今後も同樹脂の価格は上昇傾向を維持していくとみている。 最近の主要市場におけるトン当たりのドル価格(CIFもしくはCFRベースの価格)の平均は、欧州が1,190〜1,200ドル、米国が1,000ドル強、中国が1,000ドル弱といったところ。 欧州の取り引き価格が最も高いが、これは東欧諸国で同樹脂の需要が住宅建材向けや水道管向け、さらには自動車のエンジンルーム内の配線向け等に急拡大してきたことによって欧州域内全体の需給バランスが急速に引き締まってきたためと見られている。 最近の西欧のPVCメーカーは、採算面で魅力のある東欧向けに積極的に製品を振り向ける戦略を取っており、このためインド、中東・アフリカ諸国等々に対する供給量が目だって縮小しつつある。最近になってこれらの国からのわが国のPVCメーカーに対する引き合いと注文がにわかに活発になってきた最大の要因は、こうした欧州のPVC企業の輸出戦略の切り替えにあると見られている。 一方、価格のアップ率の面では中国の輸入価格が他を一歩リードするかたちとなっている。中国の輸入するPVCのうち最も量が多いのは日本品だが、その日本のPVC各社の7月の対中輸出CFR価格は同980〜900ドルで、7ヵ月連続値上がりしている。最近のボトムの06年12月に比べると同200ドルもの上昇となっている。 中国では、輸送費や電力費の高騰によって小規模のカーイド法塩ビ企業の中に事業の縮小や撤退を余儀なくされるところが出てきている模様で、このため市場には先行きの供給不安感と先高観が広まりつつあり、それがわが国などへの引き合いの活発化となって現われている模様。 わが国のPVCメーカーの調査によると、今後も同樹脂の需要は東欧、インド、中東、アフリカ、中国、ベトナム等々で着実に増えていく見通しにある。国内需要が伸び悩んでいる日本のPVCメーカーにとってはまたとない明るい材料といえ、各社とも国際市場の拡大に本腰を入れていくことになりそうだ。 |