2007年07月27日
セラニーズの酢酸工場の稼動再開がさらに延期
9月以降の需要期の国際需給に大きく影響か
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 酢酸の世界最大メーカーでもある米・セラニーズの米・クリアレーク工場内の大型酢酸プラントの稼動再開がさらに大きく遅れる公算が強くなってきた。
 
 同社は、かねてメカニカルトラブルのため運休中であった同工場内の年産120万トン能力の酢酸プラントを7月16日から稼動させる旨を世界各地の需要家に表明していた。しかし実際には狙い通りに修復が進まず、再稼動の開始時期をいまだに改めて表明できないままきている。このためわが国のアセチル企業や商社筋の間には、同プラントの修復が完全に終了するまでなお相当の時間がかかるのではないかとの見方が広がっている。
 同社は世界各地に大型酢酸プラントを保有しており、総設備能力は年約300万トンに達している。そのうちの同120万トン分がこの5月以降に運休を続けているだけに、酢酸ならびにその誘導品である酢酸ビニルや酢酸エチルなどの国際需給バランスは急速に引き締まってきており、それに伴い各製品の市況も急上昇している。
 
 それでも8月はアセチル製品全体の需要が他の月を下回る時期なので、市場に大きな混乱は生じないと見られている。しかし9月からの需要期に入ってもなお同工場の稼動が見送られるなりあるいは十分な稼働率を上げられないまま推移するようなことになると、品不足が一気に進み需要家各社に深刻な事態をもたらすことになろう。