| 2007年08月13日 |
| Akzo Nobel がICI を買収 |
| 【カテゴリー】:海外(経営) 【関連企業・団体】:なし |
オランダのAkzo Nobel は13日、英国の ICI を80億ポンド(約1兆9千億円)で買収することで合意したと発表した。 AkzoはICIの買収後、National Starch 部門(接着剤とエレクトロニック材料事業)を27億ポンドでHenkel に売却する。 Akzoは本年6月4日に、ICIに対して72億ポンドでの買収提案を行ったが、ICIはこれを拒否した。 Akzoは医薬品、塗料、化学品の三つの分野で活動しているが、本年3月に医療用医薬品事業のOrganon Biosciencesを144億ドルで Schering-Plough に売却することで合意した。 (ほかに動物用医薬品事業のIntervet=世界のトップ3の一つとバイオ事業 Nobilon International を持っている) 同社はその際に、売却資金を利用し、投資や買収によって塗料及び化学品の最も魅力的な分野で成長を図るとしていた。 ICI買収は豊富な資金をもとに、ICIの塗料事業を狙ったものだが、同社自身が買収の対象となるのを避ける目的もあるとされた。 一方、ICIは1997年に既存事業のほとんどを売却し、スペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わることを決めた。 その結果、同社の事業は、既存の塗料のほか、1997年にUnileverから購入した3事業=接着剤等のNational Starch、香料のQuest、油脂化学・界面活性剤のUniqema の合計4事業部門から成っていた。 同社は昨年、Uniqema部門 とQuest 部門を売却、売却額は退職年金不足額に充当するほか、負債の返済に充てた。 この結果、同社は塗料事業とNational Starchに事業を集中、負債も縮減している。 Akzoでは再提案をするべく、主要株主との協議を行った。 ICIは7月30日、Akzo Nobel から1株650ペンス(総額78億ポンド)で買収したいとの再提案を受け、取締役会でICIの戦略的価値からみて安すぎるとしてこれを満場一致で拒否、Akzoに対してこれを伝えるとともに、値上げをするかどうかの問い合わせをしたと発表した。 Akzo側は、ICIの買収が成功した場合、ICIの接着剤とエレクトロニック材料事業(National Starch)を Henkel KGaA に売却する契約ができていることを明らかにした。 Henkel は3つの分野(Laundry & Home Care、Cosmetics / Toiletries、Adhesives Technologies )でグローバルに活動しており、この取引で接着剤事業の強化ができる。Akzo はICIのcoatings 事業がほしいため、これにより、AkzoとHenkel はともに、それぞれの戦略に合致した最もシナジーの高い事業に特化できることとなる。 Akzoは8月6日に、ICI に対して670ペンス(約 80億ポンド相当)での再々提案をしたことを明らかにした。 また、同社はICIの接着剤とエレクトロニック材料事業のHenkel KGaA への売却金額が27億ポンドであることを明らかにした。 ICIの買収額のうち、約1/3をHenkelが負担することとなる。 ICIはこの再々提案を受け、Akzoに対してdue-diligence 調査の実施を認めた。 今回 due-diligence 調査の結果を受け、両社が合意したもの。 1926年に設立され、高圧法ポリエチレンを開発した名門 ICI は消え去ることとなる。 単に買収されて名前が消えるのではなく、多岐に亘った事業がバラバラにされ、元のICIは跡形もなくなる。 Wall Street Journal は、老舗の売却は、英国が製造業からもっとサービス志向の経済に移行していることの結果であり、また英国の解放政策の結果でもあるとしている。 (注)CNTでは今回の買収を含めた 「ICIの各事業の変遷」をまとめました。 トップページから左枠の「欧米化学会社の変遷」をクリック、ICIをクリックしてください。 |