2007年09月18日
三菱化学メディアとパイオニア、金属窒化記録膜を用いたBD−R開発
有機色素記録膜を用いたブルーレイ追記型ディスクを実用化
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:パイオニア、三菱化学

 三菱化学メディアとパイオニアは18日、記録膜に有機色素を使ったブルーレイ追記型ディスク(BD-R)の実用化と、記録膜に金属窒化物を使ったBD-Rの多層・高倍速記録の共同技術開発に成功したと発表した。

 両社は2004年から色素系ブルーレイ追記型ディスクの共同開発に着手。三菱化学メディアは有機色素記録材料の改良とディスク試作、パイオニアは試作ディスクの評価やドライブとの互換性の観点からの検証とシミュレーションによるディスク構造の設計を担当した。この結果、2倍速記録有機色素系BD-R の開発に成功した。

 また両社は、2005年から有機色素系記録メディアの規格化に取り組んできたが、今春、有機色素系BD-R に対応した記録方式( Low to High 方式 )が「Blu-ray Disc Recordable Format Ver.1.2」に採用された。

 これにより、BD-Rにおいて有機色素系記録メディアの商品化が可能となった。有機色素膜を用いたディスクは、大規模な設備投資を必要とせず、既存のCD-R、DVD-Rなど塗布型製造設備を一部改造するだけでブルーレイディスク製造ラインに転用でき、ディスクの低価格化につながる。

 さらに両社は、金属窒化物を用いて、2層をはじめとする多層記録や高倍速記録等の高パフォーマンスを実現するBD-R の開発も進めてきましたが、このほど多層・高倍速記録に対応する技術開発に成功した。

 記録膜の基本特許はパイオニアが保有し、この記録膜を採用したディスクは三菱化学メディアより2006年7月から2倍速記録対応BD-Rとして発売している。

 両社は今後も、有機色素系および金属窒化物系ブルーレイ追記型ディスクの特性改善を進め、高速記録および2 層媒体への適用など、ブルーレイシステムのますますの発展につとめる。同開発成果は10月2日から幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2007」で展示する。

【用語解説】  Low to High 方式 (LTH方式)
 光ディスクにデータを記録する際、レーザー光により光の当たった部分の記録媒体の性質を化学・物理変化させる。変化した部分とそうでない部分の光反射率の差を利用してデータを読み取る。有機色素系媒体では記録前の反射率は低く、記録部分の反射率は高くなる。

 また、現在市販されている金属系記録媒体を用いたブルーレイ追記型ディスクでは、記録した部分の反射率は記録前より低くなる方式を採用している。(High to Low 方式)
 
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1190086014.pdf