| 2007年11月14日 |
| 中国での医薬品販売戦略、まず西北・陜西で具体化 |
| 宮越商事が「直販体制」に対応、来春から華北も |
| 【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:なし |
中国ではいま医療体制の急激な改革が進みつつある。全人代と党大会で「和諧社会の実現と科学的発展観」に向かう方針が打ち出された後、市場主義による医療衛生の発展を認めながらも利益追求の医療サービスを疑問視、政府による供給サイドと流通経路のコントロールによる医療サービスコストの抑制が必要と判断された。 この医療サービスコストの引き下げを目指し、メーカー(病院を含む)と流通段階(卸し、小売り)を切り離す措置が03年に打ち出された。健康指数は社会発展を図る重要な指数であるため医療サービスがますます重要視されているわけである。 医療費削減のために政府は新薬登録制度の見直し、薬品審査における汚職摘発、リベート慣行の見直し、医療保障制度の立て直し、基本薬品生産企業の指定と安定供給、医療体制の地方農村部での整備、薬価の引き下げなどを打ち出した。 こうしたことで中国の医薬メーカーは06年の実動4,000社から入札制度により08年に1,000社、さらに10年には100社に再編され、医薬卸会社は06年の5,750社から10年に全国レベル超大手卸し5〜10社、売上20億元(310億円)レベル大手40社程度に再編されるという。直販体制の実現である。 中国の医薬品市場は後発品が95%、新薬はわずか5%という現実がある。政府はこれに対し西洋型の薬品を開発、国をあげて新薬を20〜30%に引き上げようとしているわけだが、これには外企業の協力を歓迎している。 この流れに沿って05年に外資第1号の現地会社・隆邦医薬貿易有限公司を設立した宮越商事は06年7月に、中国医薬関連会社173社と販売提携契約を結んだ。隆邦医薬は今年10月から販売活動を開始している。 また、同社は今後、販売パートナーとしてすでに販売提携しているOTC 社(長春市)に加えて西部(西北・西南)や華北,華東,華南、東北などの地域にメンバーを拡大する計画(目標500社)である。 西部地域では西北最大の国有企業・陜西医薬集団が06年12月に発足しており、宮越商事は同集団との合弁医薬流通卸会社を設立する。同集団は科学、工業、貿易を包括する国有企業であり傘下に20社、4研究機関を保有している。その中には売上39.37億元(610億円)、従業員160人、グループ1万5、000人を持つ西安ヤンセンファーマ公司も含まれている。 同集団の06年売上は30億元、利益2億7,000万元、23の子会社(売り上げ5億元以上2社、1億元以上6社)を持つ。従業員計4,778人。20年強の歴史を持つ。米国、タイ、香港、ベルギーなどと合弁事業を運営している。 日本の医薬品メーカーとしては大塚製薬、エーザイなどが中国に進出しているが、販売面で新たな対策が求められそうである。 |