2007年11月28日
米倉・住化社長が有機ELのロードマップ       
2010年に液晶デスプレイに並ぶと予測
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学
米倉・住友化学社長

 米倉・住友化学社長は27日の記者会見で、同社が08年から生産を開始する高分子有機EL(エレクトロルミネッセンス)の発光材料「LUMATION」を使った薄型デスプレイテレビが2010年に液晶テレビに並ぶとの見通し明らかにした。

 米倉社長によると高分子有機EL を発光材料とする薄型テレビは、2010年に総需要が1億1,000万台(今年7,600万台、08年9,200万台)となる中で、この50%を占め、液晶テレビと対等になるとみる。

 この背景として来年には有機ELの大型化が実現することをあげている。有機ELは液晶に比べ高コントラストで,視野角が広く、薄型、軽量、また、消費電力が少なくて済む(バックライト不要)などの特徴があり、さらに課題だった発光材料の寿命もここ半年で4−5倍に伸びた。

 高分子型の有機ELは低分子型のように発光材料の真空蒸着設備がいらず、この分コストが安くなる。住化では英CDT(ケンブリッチ デスプレイ テクノロジー)から、発光材料を塗布するインクジェット方式を導入している。

 CDTはほかに青色発光材料(デンドリマーを領した高効率りん光材料)や赤色発光材料の寿命を延ばす技術を持ち、住化との共同会社(06年10月設立)での研究に生かしている。

 寿命については素子のデータで400cd/平方メートルの初期輝度で20万時間を超えている模様。

 住化の河内副社長は「有機ELはデスプレイをフィルム化することが可能。また、TFT(薄型トランジスタ)をフィルムに一体化することもできるわけで、今後の技術開発しだいでまだまだ市場が広がる」と語っている。

 有機ELの 薄型テレビはソニー、東芝、セイコーエプソンなどが商品化を発表しているが住化ではまだ、発光材料の供給先を明らかにしていない。