2007年12月10日
セーレン 繊維産業をIT導入で経営革新
川田社長、電子・自動車・医薬品などの新分野へ展開
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:なし

 05年7月にカネボウの福井繊維工場を買収して話題を呼んだセーレンが、IT(情報技術)を利用してベンチャービジネスに挑戦、企業復活を果たした。同社の川田達男社長に、その取り組みを聞いた。以下は要旨。

 同社(旧福井精練加工)は明治22年の創業。繊維製品の企画製造販売会社で現在資本金175億458万円、従業員5,594人、売上高1,116億円、関連会社は国内に17社、海外に8社。1960年代、繊維産業の全盛時代を迎えた。

 71年のニクソン・ショック(対米繊維輸出の自主規制)の後、73、78年の1次、2次オイルショックを経て、85年の円高不況・プラザ合意で87年には企業存亡の危機を迎えた。85年に常務、87年に社長に就任した川田社長は同社再建に向けて経営革新に着手。

 まず、繊維産業からITの活用による情報産業への構造改革。繊維技術のコア・コンピタンスである染色加工、織・編み、膜加工、インク基礎、ケミカル合成、コンピュータ制御・ソフト、タンパク質工学、乳化分散、色管理、消費科学などの技術を情報産業・「Viscotecs」としてまとめた。

 Viscotecs は、デジタルプロダクションシステム(欲しいものを、欲しいときに、欲しいだけ)が基本で、バーチャル企画、デジタル生産、オンネットシステムを採り入れている。この技術によって感性・機能性素材、複合素材、人口皮革、スポーツウエアなどの衣料分野が広がった。

 また、創造的に優位性、継続性を生む組織の知識・能力が高まった。この結果、化粧品・医療用セリシン事業、伸縮性添付剤基布、人工血管などの「メデカル」分野や、電磁波シールド材、半導体用ワイピングクロスなどの「エレクトロニクス」分野に拡大。さらにオフィス・インテリア資材、ハウスラップ材などの「インテリア・ハウジング」、自動車内装材、エアバックなどの「自動車」に市場開拓が進んだ。ほとんどがカスタムオーダーのため在庫ゼロ、エネルギー消費が少ない(水、重油は従来の10分の1から20分の1)といった特徴がある。

 Viscotecsの成果として、1,667万色(従来は10ー20色)の多色彩、ロットサイズは1着分1メートル(2,000メートル)、時間は5時間—2週間(6カ月—1年)、ホテル並みの職場環境などを実現した。

 セーレンの売り上げ構成は、72年の124億円(従業員2,904人、オールドビジネスの比率=97.3%)から87年に504億円(2,493人、同51%)、07年1,116億円(5,332人、同9%)と大幅に変化した。

 07年の売上構成比は自動車関連43.4%、ハイファッション(ITを利用したニュービジネス)34.2%、エレクトロニクス10.1%、ハウジング9.0%、メデカル2.7%となっている。

 (注)Viscotecs :Visual Communication Technology Systemの略。