| 2007年12月12日 |
| ベトナムの投資環境と進出企業の現状・特徴 |
| JICA・市川氏が講演「WTO加盟から1年の現地情勢」 |
| 【カテゴリー】:行政/団体(海外) 【関連企業・団体】:なし |
横浜企業経営支援財団(TEL:045−225−3730)は10日、横浜ワールドビジネスサポートセンターで「WTO加盟後のベトナム投資環境」と題するセミナーを開いた。講師はベトナム計画省海外投資アドバイザー・市川匡四郎氏(JICA専門家)。以下は要旨。 ■ 07年のベトナム投資、シンガポール・韓国・台湾が突出 日本は第4位 海外からのベトナム投資は07年も新規投資が活発で、シンガポール、韓国、台湾が突出している。電子機器関連と不動産投資が多い。とくに工場や都市の建設が進み不動産部門に25億ドルが投入され、このうち韓国が10億ドルを占めている。 07年は1—10月計では韓国が328件、24億4,200万ドル(06年180件、7億7,000万ドル)、シンガポールが71件、13億7,700万ドル(同42件、2億2,400万ドル)、台湾が169件、9億7,500万ドル(同103件、1億7,700万ドル)。 日本は131件、6億5,800万ドル(同115件、5億5,600万ドル)、中国が85件、3億100万ドル(同46件、7,600万ドル)。一方、米国は50件、2億5,900万ドル(同45件、6億3,600万ドル)、香港は48件、1億6,700万ドル(同17件、8億3,300万ドルと金額で前年を下回っている。 合計では1,144件、97億5,300万ドル(同705件、47億7,900万ドル)で、件数で465件、金額で44億4,100万ドル増えた。米国はインテル(半導体チップ10億ドル)、GE、日本はキャノン、ブラザーのほか都市開発、航空機のコンポーネントなどで投資している。 電子機器関係は台湾からの投資が旺盛。フォックスコンの携帯電話・LED(10億ドル)、コンパルのパソコン(5億ドル)、ケンマークの電子機器、ジャビルのPCB など。 07年の日本からの個別投資をみるとイントラの都市開発(1億ドル)、ムト—精工の金型製造(1億5,000万ドル)、ユニデンの電子機器製造(6,100万ドル)、INAXのタイル製造(1,800万ドル)。ニツセイ電機の電子機器製造(1,700万ドル)、キングジムの文房具製造(1,600万ドル)、オムロンの健康機器製造(50万ドル)など。ほかにR&D、組み込みソフト、IT、運輸関係、デジタルカメラなどがある。 日本のベトナム投資の特徴は、100%独資、輸出加工型、工業団地入居型、そして工業分野で重工業への投資が多い。ここ2ー3年はハノイを中心とする北部への大型投資に集中していたが、このところホーチミン周辺の南部(中小案件)にも進出している。 投資・進出の形態は直接投資(合弁、独資、持株会社)、間接投資(株式購入、証券取引、吸収・合併)、BOT/BTO、委託加工、支店・駐在所設置など。製造業は100%独資が認められるが、運輸業、小売業、サービス業については規制がある。 ■ 安定した労働力、賃金・不動産は高騰 証券取引所としてはHCMC(上場企業109社)とHanoi(同86社)が開設されており、国営企業の株式化に伴う公募株式も購入できる。 ベトナムの魅力は安定した政治体制(社会主義)で安全な社会、日本と思考方法・宗教の類似性が多い、良質で豊富な労働力・低廉な賃金など。問題点としては煩雑な手続き(建築許可、環境評価など)、裾野産業の未整備、中間管理職の不足、未整備・低い透明性と普遍性の法体系など。前例が参考にならない。 また、急激な発展により、賃金の高騰、管理職の引き抜き、地方ストライキ(山猫スト)などの問題が出ている。最低賃金制が06年2月に改定され、ハノイ・ホーチミンは月55ドル(市街は50ドル)、地方は45ドルとなった。08年1月から外資企業では63ドル(同56ドル)になる見通しだ。 山猫ストについては、政府との連携によるタスクフォースのような組織で対応する必要がある。都市の不動産価格は上昇を続けている。事務所は1平方メートル100ドル、マンションは70平方メートルで3,200ドル前後、ハイテクパークの用地は1平方メートル35ドルていどとなっている。 投資に条件が付く分野は、放送・TV、文化品の製造、出版、鉱産物の探査・採掘、通信設備・通信網の建設、運営など、郵便網の構築・宅配サービス、河川港・海港・空港の建設、運営、貨客輸送、漁業、タバコ生産、不動産事業、輸出入業・流通事業、教育・訓練、病院・クリニックなど。来年初めに分野別ガイドが刊行される。 投資法、企業法については流動的であり省略。WTO加盟後の措置は貿易関税を引き下げ、新規投資案件については優遇措置を設けた。貿易関税は17.5%を5ー7年以内に13.4%に引き下げる。輸出優遇制度については繊維・縫製品の輸出補助金を廃止。 たとえばTVが現在の30%が14年に0に、バイク(125−150cc)が同95%から12年に75%,乗用車が同100%から12年に75%とする。 法人税では通常28%(免税2年、減税2年)を、優遇分野(工業団地など)で15%(免税3年、減税7年)、ハイテクパーク、奨励地域などで10%(免税4年、減税9年)など。ベトナムでの工業用地の使用期限は50年、特別扱いで70年、期限後1回だけ延長できる。 発展するベトナムのハノイ、ホーチミン両都市は首都・ハノイの人口が310万人(在住日本人2,100人)、一人当たりGDP1,150ドル、市民性は教条的で忍耐強い。ホーチミンは同573万人(同2,200人)、同1,700ドル 、市民性は実利主義、開放的。海外からの累積投資額は各112億ドル、156億ドルである。 ベトナムと日本の貿易は06年で輸出52億3,200万ドル、輸入47億100万ドル。日本からのODAは9億ドルで第1位、08年は11億ドルが予定されている。同国の経済成長は年7.5−8%。工業立国化の目標が2010年となっている。 |