2008年01月07日
中国 国際競争力強化へ「装備製造業」育成
まず、重化学工業を渤海湾、東北地区で発展へ
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 中国は世界の工場として認識(経済規模世界第4位)されるようになり、外貨準備高でも世界第1位(9月末で1兆4,336億ドル)の地位を達成したが、次の課題として「装備製造業」の育成に力を入れることになった。

 これまでは外資を導入した加工貿易を中心とした産業を発展させ、「世界の工場」の体制は作り上げたが、たとえば集積回路製造設備はその95%、自動車製造設備、デジタル工作機械、紡績機械、オフセット印刷機械設備などは70%を輸入に依存している。

 この対外依存度、不合理な産業構造を是正し、国際競争力を高めようとしているわけである。また、対外貿易が対中進出した外資系企業に約60%も依存している現状を改善する必要にも迫られている。

 中国政府としてはこの目的を達成するため、外資系企業との大胆な連携、M&A方式による外資導入などを推奨しているといわれる。装備製造業を発展させる上ではまず、渤海湾、大連,瀋陽、ハルビンなどの華北,東北地区が対象になっている。これらに地区はかって造船、鉄鋼、自動車産業などが発展した重化学工業地帯で、産業の集約化が進んでいる。

 装備製造業の内容は電気機械・器材製造、通信設備・コンピュータ・電子設備製造、計器・メーター、事務用品、航空宇宙関連製造、鉄道運輸製造設備、交通・機材・交通運輸設備製造,汎用・専用設備製造など。遼寧省がすでに先進的装備製造業の優遇政策を制定済み。
これまでに遼寧省では大連の中国企業の大型造船所建設に川崎重工グループが出資する計画をきめたり、昨年上期に200社を超える企業が設立されるなどの活況を見せている。一方で米国カーライル社の中国建機メーカーへのM&Aが見送られるなどのケースもある。

 これは中国側の外資支配に対する制御であり、国策企業については外資の進出に圧力をかけているといえる。(この稿はジェトロ海外調査部の江原則由主任調査研究員の講演をもとに要約した)