2001年06月11日
PEのアジア市況、580~600ドルに集中
樹脂間の価格差が急速に縮小
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:エクソンモービル

 大手商社筋によると、ポリエチレンのアジア地域におけるスポット相場は6月に入って一段と軟化、特に高圧法低密度ポリエチレン(HP-LDPE)の下げ足が急となっている。
 このため、樹脂間の価格差が急速に縮小してきている。HP-LDPEも、直鎖状低密度ポリエエチレン(L-LDPE)も高密度ポリエチレン(HDPE)もトン当たりCRF580~600ドル範囲にほぼ集中するかたちとなっている。
 こうしたPE全体の市況の軟化は、サウジアラビアのシャルクやケムヤが新・増設した大型設備が4~5月から本格稼動に入ったことや、シンガポールのエクソンモービルの新設備が6月から操業を開始したこと、さらには、米国の景気の下降の影響で中国やアジア諸国のPE需要が目立って縮小してきたこと--によるものと見られている。
 もっとも、最大の消費国である中国が最近明らかにした4月の輸入通関統計では、同国のPEの4月の輸入数量は前年を大きく上回っている。低密度PE全体では81.0%増、HDPEは2.37倍となっている。大手商社の樹脂の輸出担当者の多くは、その反動が5月以降に出てきて、それに伴って市況が一段安となってきたのではないかとの見方を強めている。
 国内のポリエチレンメーカーもこうした事態を重視、関係の深い需要家向け以外はしばらく輸出契約を見合わせる構えにある。