2008年02月19日
ポリプラ、バイオ燃料中のPOM樹脂「長期寿命予測技術」開発
世界初「混合燃料の浸透量」効率よく予測
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:ポリプラスチックス
発表する伊藤晴康執行役員研究開発本部長

 バイオ・エタノールなど、自動車用燃料としてバイオ燃料の導入が本格化しようとしているが、ポリプラスチックスは19日、アセタール樹脂(POM)「ジュラコン」のバイオ燃料中での長期寿命を効率的・高精度で予測する技術を開発したと発表した。この種の予測技術開発は世界で初めて。
 
 同社は、種類が多く混合比もさまざまなバイオ燃料に材料面で対応し、自動車メーカーや部品メーカーに「安全設計」の部材を提供していこうと、独自技術で長期寿命予測手法の開発に挑戦した。
 
 寿命予測に当たっては、混合燃料による浸透量予測が最も重要なカギとなる。同社はこれを高分子熱力学的に解明し、浸透量の予測式を完成した。この予測式により、種々のバイオ燃料の浸透量を定量的に求めることができるようにした。
 
 また、この燃料浸透予測によって求めた破壊過程に、活性化エネルギーと活性化体積を使って、バイオ燃料の浸透状態での長期寿命を予測することを可能にした。
 
 クリープ破壊寿命の予測に必要な「Zhurkov破壊速度論」という理論を用い、活性化エネルギー、活性化体積を厳密に算出する手法も確立した。実測だと1年はかかる予測値の算定が20日程度でできる。
 
 この予測方法によってPOMは、耐燃料性に優れ、バイオ燃料の混合によって樹脂の結晶構造が変わらないことも証明できた。

 プラスチックは、すでに自動車の内外装に広く使われており、燃料周りだけでもポンプモジュール、フィルターケース、キャップ、フランジ、バルブ、スロットルなどがプラスチック製となっている。同社は寿命予測技術を開発したことで、今後も引続きPOMをバイオ燃料に対応した部品として販売していきたいとしている。
 
 同社はこれらの学術内容を、高分子学会の年次大会(5月28日〜30日、パシフィコ横浜)とプラスチック成形加工学会(6月3日〜5日、タワーホール船堀)で発表する。