2008年02月21日
三井化学ポリウレタンが中計を発表
「誘導品・システム事業の拡充に注力」と桑原社長
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学ポリウレタン

 三井化学ポリウレタンの桑原信隆社長は21日に記者懇談会を開き、同社が最近取りまとめた中期経営計画(期間=08年〜11年)の概要を明らかにした。
 
 今回の中計は、同計画に先行するかたちで作成した『2015年に目指すべきMCPU(三井化学ポリウレタン)像』の実現のファーストステッププランと言える性格のもの。桑原社長は「事業構造を現在のからに改変していく等の措置を講ずることによって厳しい国際生存競争の中でも長期にわたって安定収益を確保していける体質にするのが主眼」と説明する。
 
 実現に当たっては、環境調和型の新製品や新技術の継続的創出や海外におけるシステムハウスの新設、さらには世界最高水準の安全性の確保等に思い切った資金を投入していく考え。08〜11年の4年間に過去4年の4倍に相当する600億円を投融資する計画という。新技術・新製品の創出に関しては、ホスゲンを使用しないイソシアネート製造プロセスや植物由来の原料を使ったポリウレタンの開発等を加速させ、可及的速やかに工業化したいとしている。
 
 桑原社長の発言概要は以下の通り。
 ○当社が2015年までに実現を目指すべきMCPU像を簡単に表現すると、「世界最高水準の安全性の確立」(社会軸)、「長期安定的な収益構造の確立」(経済軸)、そして「環境調和型新製品の相次ぐ創出」(環境軸)、の三つの重点課題をいずれもきちんとクリアできている企業ということになる。
 ○「世界最高水準の安全性の確立」では、ホスゲンを使用しない、より安全な革新的イソシアネート製造プロセスの開発等が、また「環境調和型新製品の継続的創出」では、ヒマシ油脂肪酸など植物由来の原料を使ったポリウレタンや、水系あるいは無溶剤系の塗料・接着剤の開発などがそれぞれ当面の重要テーマと言える。一方の「長期安定的な収益構造の確立」については、原料単品販売から誘導品・システム販売へのシフト等によって確実に成果を上げていくようにしたい。現在は原料単品販売が全体の60%を占めているが、今後は誘導品・システム販売の比率を思い切って引き上げていく。11年には双方の構成比をイーブンに、次いで全体の60%を誘導品・システム販売で占めるように持っていきたい。
 ○そのためには、組織も現在の製品別から市場セグメント別に改正する。また、投融資額も大幅に増やす。04〜07年度の投融資額は150億円であったが、08〜11年には合理化投資も含めて600億円に増額する。
 ○新製品の開発に当たっては、国際市場で活躍するわが国の自動車メーカーや電機メーカーが必要とする誘導品やシステムに的を絞っていきたい。工業化に際しては、中国・華南地区など有力需要家が生産拠点を持つ地域に積極的に進出していくべきだと考えている。
 ○こうした体質強化策の積極展開によって、現在6%どころのROAを11年には8%に引き上げたい。