2008年03月14日
イランの第9エチレン設備の稼働率が上昇
第10号機は試運転ベースから脱却できず
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 わが国の複数の総合商社が入手した情報によると、イラン・Parsペトロケミカルが昨年末にバンダルイマムに建設したエチレンプラント(イランでの第9号機)は3月に入って稼働率が上昇、先週末の時点で8割近くに達した模様。
 
 第9号機のエチレン生産能力は年100万トン。同30万トン能力のHDPE/L-LDPEスイングプラントや同じく30万トンのHP-LDPEプラント、さらには同60万トンのSMプラントといった誘導品設備に先行して完工。今年1月初旬からの試運転を経て2月早々から本格操業に入っていた。
 生産するエチレンはJamの石化工場内の同44万トン能力のEG設備に供給するとともに、東南アジアや西欧の石油化学誘導品メーカーならびにエチレンセンターに輸出している。
 商社の中には、3月の輸出量は2月を1万トン上回って4万トンに達すると予想する向きもある。ナフサの高騰に収支バランスを大きく圧迫されつつある東南アジアや西欧のエチレンセンターの中で、自らの稼働率を引き下げて不足となる分を安価なイランのエチレンでカバーするところが出始めていることがParsに取って追い風となっているようだ。
 
 Parsに続いて完成したJamペトロケミカルの同130万トン能力のエチレンプラント(同10号機)も2月末に稼動入りした模様。ただし現在はまだ試運転状態から脱していない様子。その背景についてはどの商社も確認できていないとしているが、海外への積み出し施設の整備が大幅に遅れていることが最大の要因と分析する向きが少なくない。